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フルスタックAIユーザーとAI社員で人間の仕事で残るのは社長くらいしかない

2024.12.15

Updated by Ryo Shimizu on December 15, 2024, 17:04 pm JST

予想通り、今月に入ってOpenAIが怒涛のように新製品を発表し、それに呼応するかのようにGoogleがGeminiを、Tencentが動画生成AIのオープンソースを相次いで発表している。OpenAIの発表はクリスマスまで平日は毎日あるらしいので、それを追いかけるだけでも大変だ。

このまま行くと、OpenAI版ComputerUseは、おそらくAI社員のようになるだろう。月額2000ドルという噂もあるが、2000ドルとなると、経営者はいよいよ人間かAIのどちらかを選ぶという選択を迫られる。

OpenAIの作り出すAI製品群は、どれもそのほかの製品を霞ませてしまう。この領域で戦おうとする限り、二桁兆円の賭け金がない我が国の大半の企業は、たとえ大企業いえども(いや、なればこそ)尻込みしてしまうだろう。

今、AIにできないことを探すのはむしろ難しくなってる。
楽曲制作、動画制作はAIの方が良いか、ほとんど十分で、費用も安いしスピードも圧倒的に速い。
何か特別なこだわりがない限り、動画も音楽もAIに任せるので十分になりつつある。

文章はどうか。
AIの文章は初期に比べると格段の進歩を遂げたと言って良い。
特に最近のOpenAI o1やo1 pro modeは、数学的思考能力も持っている。数式を書かせたら、筆者より綺麗に書くし賢い。
数式をプログラムに落としたり、プログラムを数式にしたりするのは本来はかなり難しい仕事だが、o1 proは難なくこなしてしまう。

むしろAIが苦手なことを探す方が困難になってきた。
今のところモデリングはまだ甘い。

何となくのものは作れても、カッチリしたものを作るのは苦手らしい。
ディティールを描かせようとすると簡単に破綻してしまう。

まあでもこれも時間の問題だろう。

プログラムはAIの方が書くのが速いし正確だ。
結果として、プログラムするべきことがなくなってきてしまった。

何しろ、何か思いついたらAIに指示すると、あとはずっと待っているだけなのである。
待っている間に他のAIを使うと、どんどんお金がかかっていく。こうして投じた費用は、いつ、どのように回収するのか。

一つの方法は、AIをまだ使えない人のためにAIを使って要望を満たしてあげる、いわば「AI橋渡し役」になることだ。
これは今すぐできる。CloudWorksとかに掲載されている仕事を、AIでやるだけでいい。

AIを使って本を書いたり、漫画や映像作品を作ってもいいだろう。
すると、AIが何かを作り出すまでに待つ時間というのは、AIが作り出したものにダメ出しをする時間として充てられることになる。

実際、o1 proは昔のChatGPTに比べると、物語や長い文章の出力が格段に良くなった。それでもまだ128K(12万文字)が限界だが、まあ12万文字というのは要は本一冊文くらいなので、本一冊くらいはどうにかなるということである。

時を同じくしてローカルLLMも劇的に高性能になり、さらに必要とするメモリもどんどん減ってきた。現在、70B(700億)パラメータのモデルは4ビット量子化で40GB以下のVRAM(または64GB以上のメモリを搭載したMacBookPro)で動作するようになった。

これは一年前では到底考えられない進歩である。

さらに、今のLLMは文章をトークンという単位に区切って学習するが、それをバイトレベル(8ビットごとの単なる符号)で区切っても学習できるByte Latent Transformerのような新技術や、小規模な言語モデルでも大規模言語モデルが解けないような高度な問題を解くことができるようになるEntropixなどの技術が次々と登場している。あまりに劇的な性能のため当初は詐欺とまで言われたEntropixも、今年のNeurIPSで公式なベンチマークが公開され、その実力に業界全体が息を呑んでいるところだ。

参考:https://x.com/max_4c/status/1867748004582895694

おそらく来年中にはもっと軽量かつ高性能な言語モデルや画像生成モデルが開発されるだろう。初登場した時には数分かかっていた画像生成AI(StableDiffusionよりも歴史は古い)も、それからわずか4年で1秒以下、場合によっては秒間100枚程度の生成が可能になった。

本当に、Only limit is your mindな世界がきてしまった。
さあ大変だぞ。AI社員と人間の社員。もう人間は社長になるしか仕事は残っていないだろう。果たしてそのスピード感についていけるのだろうか。

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清水 亮(しみず・りょう)

新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。

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