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6G向けセンチメートル波、ソフトバンクとノキアが銀座で有効性を確認

6G向けセンチメートル波、ソフトバンクとノキアが銀座で有効性を確認

December 2, 2025

岩元 直久 Naohisa Iwamoto

WirelessWire News編集長。日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。ITジャーナリスト、フリーランスライターとしても雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。

AIの活用などにより世界のネットワークトラフィックの増加が今後も見込まれる中で、6G向けの新しい周波数帯の利用が求められるようになっている。実際、6Gを見据えた次世代のIMT-2030では、5Gで定義されたSub6(FR1、3.3G~7.125GHz)と、ミリ波(FR2、24.25G~71GHz)の中間を埋める、センチメートル波(FR3、7.125G~24.25GHz)の利用が検討されている。ソフトバンクは、FR3の周波数帯に含まれる7GHz帯の電波を使って都市部で実証実験を行い、その有効性を確認したと発表した。

今回の実証は、2025年6月から中央区銀座4丁目~8丁目の一部で、7.180G~7.280GHzの帯域幅100MHzのセンチメートル波を利用して実施した。基地局はMassive MIMOに対応した3局を設置。屋外でのエリアカバレッジと通信品質、電波伝搬特性などを評価した。その結果、大容量通信と広域な通信エリアの構築に向けて7GHz帯の電波が要件を満たし、都市部での展開に有効だと評価した。7GHz帯を選択した理由としてソフトバンクは、ミッドバンドの中で連続した広い周波数を確保できることや、周波数が高いミリ波よりもSub6に近い周波数特性を持つことを挙げている。

伝搬特性の評価では、同じビルに設置した3.9GHz帯(Sub6)の基地局と比較した。その結果、見通し内では3.9GHz帯と7GHz帯の伝搬損失の差の試算値である6dBに対して、実証では1dB未満へと損失が抑えられた。ソフトバンクでは建物に囲まれた環境では道路に沿った伝搬が起こりやすく、遠くまで電波が届くのではないかと推測している。見通し外では試算と同様の結果だった。

エリアカバレッジでは、200m×500mの範囲をエリア化でき、圏外になる範囲を0.5%以下に抑える商用レベルのカバレッジを実現。また通信品質面でも高い品質が得られることを明らかにした。

検証の結果、7GHz帯ではマクロ局によって繁華街を広くカバーして品質の良い通信エリアが構築可能であり、効率的な6Gの展開に効果があることがわかった。東京大学 大学院工学系研究科教授で、XGMF(XGモバイル推進フォーラム)共同代表の中尾彰宏氏は、この実証結果について「7GHz帯を用いた6Gの有効性を日本から発信する有用な内容だ。産学官や海外パートナーと共創することで、7GHz帯のグローバルエコシステムの形成と社会実装を推進していく」とコメントしている。ソフトバンクでは今後、6GHz帯や8GHz帯などにも実験帯域を拡張し、6Gの早期導入に寄与したいという。

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