協創 (読み)きょうそう
舞台を作り、キャスティングして、公演にまでもっていくのが協創。そうやって出来上がった舞台、あるいは既存の舞台の上で演じるのが協業。
2019.03.22
「協創」は「ともに行きていくこの場、空間、社会を互いの違いを踏まえた上でより良いものにしていこう」という射程の長いコンセプトであり、事業の方向性やビジネスモデルが一致していることが明確になっている段階で始めるのが協業だとするなら、それ以前の段階から始めるのが協創であり、事業、ビジネスにおけるバイ・デザインと考えることも可能だろう。
ともあれ、この世界を少しでも互いにとって良きものにしようというのであれば、互いに対して常に細心の注意を払いつつ、歩調を合わせて同じ方向に進もうという意思確認も必要だし、それは打算、計算だけではない「幸せな結婚生活」にも似ているはずだ。
そして、協創の具体詳細な方法論も結婚と同じようにパートナーによって大きく変わる。そこから一緒に作っていくからこその「協創」である。あなたも相手にお互いの存在によって否応なく変化していく。もし変わらないようなら宗教の折伏のように互いに自らの正しさを主張するだけに終わり、永遠に協創の果実を得ることはできないと考えるべきだろう。
清水 博
中央公論新社 (1990/10)
|940円(本体)
|新書判
|355p
|9784121905031
▼分類的にはビジネス書でも自己啓発書でもなく自然科学系人文書になる。生命体としての人間と社会的存在としての人間、まったく異質の存在を「場の共有=共創を通じて融合させる努力をしなさい」と淡々と説く、新しい形の哲学の書ともいえる本である。ちなみにこの本では「協創」ではなく「共創」となっている。基本的な考え方は同じはずだが、そこはそれ、いろいろ事情があるんだろう。