量子コンピュータ (読み)りょうしこんぴゅーた
現在主流のノイマン型コンピュータには苦手な計算分野があるが、それを補う可能性があるのが非ノイマン型コンピュータで、その中でも現在もっとも注目されているのが量子コンピュータ。
2019.03.22
「問題」の中には「慌てて手を付けると却って悪化する」というか「放っておくと自然に解決しちゃう」というやっかいなタイプがある。楽ちんでいいのだが、こういうのがあると、あちこちで棚上げ、悪く言えば「問題の先送り」が常態化する。で、放っておいても解決しないタイプの問題を先送りしていると、時として大惨事になる。
そうはいっても、世の中、これは白、それは黒とサクサク判断できる場合ばかりではない。先送りするつもりがなくても「うーんこれ、どうしようか、ちょっと棚上げしてあとで考えよう」ってなことはよくある。しかし仮でいいから見当は付けとかないとどうにもならないので「6:4くらいでこっち」と仮に決める。で、先に行ってそれで塩梅悪ければここまで戻って「じゃ7:3にしとくか」、みたいなことをする。
現在のノイマン型コンピュータだと(最新のスーパーコンピュータでも)こんな感じの行ったり来たりが発生すると、1つ2つならともかく、数千、数万の処理が行列状態になれば、とんでもない時間がかかるようになる。しかし量子コンピュータはこの状態を同時並列で保持できるので 行き来の時間がほぼゼロになり(あくまで比喩)、ノイマン型コンピュータとは比較にならないぐらい速く答えが出せる、というようなことだ。なので、量子コンピュータが出来たら既存のノイマン型は不要になるというような話ではなく、ノイマン型が苦手とする領域(の一部)を穴埋めしてくれる頼もしい助っ人が量子コンピュータという、ま、相補的というか適材適所な関係であって「これこそ次世代型コンピュータの期待の星」みたいな話ではない。
西森 秀稔 / 大関 真之【著】
日経BP社 (2016/12)
|1,500円(本体)
|B6判
|187p
|9784822251895
▼評を見ると、専門家には若干不満も残るかもしれないが一般向けと考えれば、量子アニーリング技術の提唱者である研究者自らが書いた量子コンピュータの入門書という、ものすごく贅沢な本である。