スーパー書評「漱石で、できている」6トーマス・マン『選ばれし人』 文化の複数性、人類の普遍性 2020.06.13 マンの作品を取り上げるのであれば、誰もが『魔の山』や彼にノーベル文学賞をもたらしたとされる大作『ブッデンブローク家の人々』、あるいは『トニオ・クレーゲル』などから始めるのが順当だろう。それらの作品に対する敬意や共感は、誰にも劣らないつもりだ。