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──ずばり、アップルは今何を考えているんでしょうね。通信事業者としては気になりますよね。iPadが次に何をしようとしているのか。

林 : そうですね。これからはマルチスクリーンの時代になるという議論があって、まずはテレビ、パソコン、携帯電話の3スクリーン。これがどこまで増えるかで諸説あって、友人の神尾さん(ジャーナリストの神尾 寿氏)は7+1(n)スクリーンとおっしゃっています。要はスマートフォン的なサイズと、iPad的なサイズと、パソコンと、カーナビとかPND(ポータブルナビゲーションシステム)といった感じで。

──ネットブックというのはなくなりそうな感じがします。

林 : ネットブックは要らないですね。ジョブズも言ってましたけど、ネットブックって、パソコンのウィルスとか不正コピーとかそういう問題を引きずったままのデバイスなんです。で、パソコンというのが、またウィルスソフトを更新しなきゃいけないとか、メンテナンス自体が目的化しちゃって便利な道具ではなくなりつつある。iPhoneやiPadに慣れてくると、パソコンというのが本当に20世紀の遺物で早くなくなって欲しいとさえ感じてきます。

それでいうと、実はAndroidで非常に残念だったのがそこで、Androidも、少しそういう部分を引きずっているところがあるんですよね。日本のメーカーが、iPhoneに対抗するにはAndroidしかない、と訴えてきただけに、そこはちょっとガッカリなんですが、アプリの販売通貨の問題もあるし、できれば、売り上げの一部をメーカーに還元するしくみを採用して欲しいし、Android陣営のメーカーやキャリアで協力して、なんとかマーケットプレースの再構築ができるといいのですが...これは日本だけではなく、グローバルでの話しです。

これからのパソコンがどうなるかというと、ビデオ編集とか写真の調整とか、プロフェッショナルの人のためのツールではあるかもしれないけれど、一般の人にとってはiPhoneやiPadのバックアップ装置であればいい。それなら、ホームサーバー1台あればいいよ、みたいな世界ですね。

この動きが落ち着いたら、次にアップルがやるのはApple TVで、リビングルームの方をもう1度、攻めなおしてくるんじゃないかな。ちょうど、GoogleもGoogleTVで、そこを攻め始めているし。

もしくは、OSのメジャーアップデートで、パソコン自体を次のフェーズに持っていこうとするのかも知りません。最近、Mac OSの話題があがりませんが、アップルは大抵、そういう時に、水面下で大きな動きをしていることが多いのです。

──それでも、まだ「テレビとPCと携帯」みたいな議論をしているうちはポジションがはっきりしてましたけど、どうマッピングすればいいのかいよいよ分からなくなってきましたね。ユーザーとしても分からないし、事業者としても分からない。

林 : それがわかるという人がいたら、大ボラふきだと思います。これらの機器が、どう使い分けられるかは、今後、じっくり時間をかけて発見されていくんだと思います。神尾さんが先日講演でおっしゃっていたのは、IT慣れしていない人ほどiPadは心に響くんだそうです。見せると、「あ、すごい」って感動する。

──PCって本来はこうでなくてはいけなかった、という話なんですよね。

林 : そうですね、まさに。それでいったら、PCもiモードも同じなんだと思います。確かに、出てきた時はすごい先進的だったけど、それはPCなら80年代、iモードなら90年代の話であって、そのまま段階的な進化をしてくる途上で、たくさん垢がたまりすぎちゃった。今は、その垢を取るよりも新しいものをつくったほうが早いというフェーズに来ているんだと思います。

第一部:iPadがもたらす新しいユーザーエクスペリエンス
第二部:通信事業者・端末メーカーが生き残るには?(6月4日更新)

文:林 信行

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