競争が激烈で通話料金が非常に安いインドの携帯通信キャリアの弱体化を防ぐため、電気通信の規制当局であるTRAI(Telecom Regulatory Authority ofIndia)がインド政府に対して、キャリアの統合を促す勧告を行った。
インドは全国を22のサービスエリア(サークル)に分けているが、1エリアには9社から14社がひしめいている。現行の規制では1社が1エリアに複数のライセンスを保有できないことから、競合するキャリア同士の買収や合併はできず、またライバルキャリアの株式を10%以上保有することもできなかった。
TRAIは、同一エリアに最低6社が共存するなら、一定の条件下でM&Aを認めるようルールを変更するようと勧告している。この勧告では、M&Aしたキャリアが同一エリア内で30%以上の顧客を持ってはならず、GSMなら14MHz、CDMAなら10MHz以上を保有することになる場合は電波を返上する必要があるとされている一方、GSMで6.2MHz以上、CDMAで5MHz以上の帯域を持っている既存のキャリアに対しては、超過分の帯域について利用料(一時金)を課すこともうたわれている。
インドでは3Gの周波数帯がオークションにかけられている最中で、5月10日には入札価格が総額1347億4000万ルピー(1ルピーを2.06円とすると2775億円超)にまで高騰している。このオークションはおそらく今週中に終了し、続いて2.3GHzのオークションが開始されるだろうと、RETHINK WIRELESSは報じている。
この周波数帯オークションでの価格高騰は、欧州で10年前に起こった3Gバブルを思い起こさせる。このときには、オークションで電波の価格が高騰し過ぎてしまい、落札したキャリアが設備投資にまわす資金が目減りして、3Gのスタートが日本などに比べて遅れてしまった。
電波は高額で通話料は安く競争が熾烈なインドでは、TRAIの勧告によってキャリアの統廃合が始まるかも知れない。
【参照情報】
・Indian regulator recommends easing merger rules (total telecom)
・India 3G Sale 'Out of Hand' as Bids Pass $12 Billion (Bloomberg Businessweek)
・Indian cellcos running out of cash as auction reaches $3bn (Rethink Wireless)
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