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LTE時代には"クラウドフォン"が業界地図を塗り替える - 米コンサルティング会社の予想

2010.05.28

Updated by WirelessWire News編集部 on May 28, 2010, 12:50 pm JST

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(cc) Image by don.wing45 / Donald

2015年までに「クラウドフォン」が現在の携帯電話機メーカー業界を一変させるという予測を米国のコンサルティング会社ストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)が発表した。ここで言う「クラウドフォン」とは、現在の携帯電話機と違って、クラウドとの連動によりサービスやアプリケーションを実現する電話機のこと。LTE時代には高速広帯域のデータ通信が3G時代よりも安価に利用可能となり、レイテンシー(処理の待ち時間)が3Gに比べて極端に短くなる。その結果、提供可能なコンテンツやアプリケーションの幅が広がることから、もし現在の市場リーダーたちがLTEへの移行で舵取りを誤ると、新興勢力や別の業界の大手に電話機市場を席捲させる恐れがあるという。

フェイスブック(Facebook)アプリやミクシィ(mixi)アプリを思い浮かべるとイメージが沸きやすいと思われるが、これらのSNSをプラットフォームとするゲームやツールは、PCや携帯電話機にインストールする必要がないため、異なるデバイスから同じゲームを同じアカウントで利用できる。つまり、利用者は家庭からはPCで、外出中には携帯電話でといったように、状況に応じてデバイスとアクセス経路を使い分けることになる。これまでにも、たとえば端末上のiアプリとサーバー上のグループウェアとの連動で機能を実現する例は存在したが、いまはまだ具体例の少ないこうした提供形態がLET時代には主流になるということらしい。

iPhoneのようにパソコンとの併用が前提となるスマートフォンが多いなかで、PCがまったくなくても、GmailやGoogleMapなどクラウドが提供しているサービスやアプリケーションを利用できるAndroid端末は「クラウドデバイス」と呼ばれている。「クラウドフォン」時代には音声通話など単なるアプリケーションの1つに過ぎなくなり、携帯電話機というカテゴリーが過去のものになるのかも知れない。

上述したStrategy Analyticsのプレスリリースには、そうした可能性を示す2つのシナリオが例示されている。1つはクラウド時代の通信事業者が、既存の携帯電話機サプライヤーであるサムスン(Samsung)やLGの代わりに、ファーウェイ(Huawei)やZTEといったベンダーをクラウドサービス提供のためのデバイスベンダーとして選ぶようになっていくというもの。そして、もう1つは、デル(Dell)やHPといったPCベンダーがクラウド時代のマルチ・スクリーン向けクラウドサービスを、ベンダー自ら提供してくるというものだ(マルチ・スクリーンとは、携帯電話機、PC、その他の情報家電など、ユーザーとの接点となる複数のハードウェアを指す)。早稲田大学情報生産システム研究科客員教授の丸山不二夫氏が以前、ある講演で語ったように、今後のIT技術の中核はクラウドとクラウドデバイスということで間違いなさそうだ。

【参照情報】
Strategy Analytics: LTE Cloud Phones to Disrupt Handset Market (プレスリリース)
新機能てんこ盛り、会場も盛り上がったAndroid 2.2の発表 (@IT)
IT技術の中核はクラウドとクラウドデバイスに - 早大 丸山先生講演(マイコミジャーナル)

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