7月1日、米インテル(Intel)は台湾における同社のWiMAX事業を推進するWPO(WiMAX Program Office)を閉鎖すると社内で通知したようだ。これがすなわち同社のWiMAXへの注力の終焉を意味するのかどうか台湾で話題になっている。
インテルは2005年、台湾当局の経済部(MOEA:Taiwan Ministry of Economic Affairs)と覚書(MOU)を交わしてWiMAXの導入・普及に官民で協調してきた。このMOUを受けて2008年にはインテルが台湾でのWiMAX技術開発などを目的に、今後5年間で5億米ドルを投資すると発表している。インテルは先週の時点ではWPOの閉鎖を台湾経済部には伝えていない模様だ。
解散するWPOのメンバーは、インテル社内のモバイルワイヤレスグループ(MWG)、PCクライアントグループ(PCCG)、セールス&マーケティングユニット(SMG)に再配置されるとのこと。台湾国内では数年前からインテルの「撤退」説が流れていたようだが、インテル側は今回の措置を「マイナー」な組織改変と位置づけ、WiMAXへの支持は変わらないと同社ブログで述べている。台湾の地元企業を育成して、WiMAXを離陸させるというWPOの役割は十分に達成したということのようだ。
このところ、WiMAXについては逆風となるようなニュースが相次いでいる。3月には米シスコ(Cisco)が WiMAX基地局事業からの撤退を明らかにし、5月には米クリアワイヤー(Clearwire)がTD-LTEに乗り換えるとの観測が流れた。こうした流れの中でのインテルの動きがさまざまな観測を呼ぶのは避けられそうにない。
WPO閉鎖の影響について、台湾国内では、「3年前なら大打撃だったろうが、各国でWiMAXの商用サービスが始まっており、台湾ベンダーのプレゼンスが高まっている現時点では、影響はそれほど大きくない」という見方もあるようだ。
【参照情報】
・Intel Is Closing Its WiMax Program Office in Taiwan -PCWorld
・Intel backs off WiMAX industry, dismisses WiMAX Program Office, say sources -DIGITIMES
・Backing Off 4G WiMAX? Hold Your Horses(インテル社のブログポスト)
・インテル:台湾WiMAX産業に5億ドルを投資 -ChinaPress
・米クリアワイヤーにTD-LTEの採用可能性 - チャイナモバイルとの提携の噂も
・Cisco exiting WiMAX RAN market -FierceBroadbandWireless
・インテル、WiMAX撤退説再燃 -ワイズコンサルティング
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