2枚のSIMカードを装着でき、2つの携帯サービスに対して待ち受け(スタンバイ)状態になることができる「デュアルSIM-デュアル・スタンバイ」のハンドセットがインドや台湾で売れ始めている。
デュアルSIMは日本ではなじみが薄いが、アジア圏や欧州でGSMが強いエリアでは、以前から流行していた。しかし、従来のタイプはSIMカードスロットが1つしかないハンドセットにダミーのSIMカードを挿し、そこから基板にコードを伸ばしてアダプタに2枚のSIMカードを装着するタイプや、SIMカードを切断してICカード部分を切り取り、1枚のSIMカードの大きさのアダプタに2枚を搭載するタイプなどで、電話機の「改造」に当たるような非公式なスタイルが主流だった。
台湾やインドで売れているのは、1台の電話機の中に2枚のSIMカードを収納できるタイプで、ディスプレー上などにどちらのSIMカードが「アクティブ」状態かが表示される。
台湾では50万台、シェアでは9%ほどがデュアルSIMになっているという。小売店からの情報では、50万台のうち約80%はGSM用SIMが2枚のタイプで、約15%はGSM用とCDMA用が入るタイプとのことだ。LG電子はGX200およびGX500というデュアルSIMハンドセットを2010年上半期に投入。サムスンとノキアも追随すると言われている。
インドでは携帯電話機のセールスの15%がデュアルSIMになっていて、さらに成長中という。中国の無名のベンダーの製品が多かったが、インド市場にはサムスンが参入済みで、数週間以内にノキアも製品を出すと言われている。
デュアルSIMの用途としては、ビジネス用とプライベート用の携帯電話を1台にまとめるほかに、複数のキャリアのSIMを搭載することでキャリアによる電波のカバレッジの違いを利用者側で吸収することもできる。キャリア間でローミングするのではなく、利用者側がキャリア間でハンドオーバーしてくれるという訳だ。特に広大なインドでは全国で1社からのサービスを期待できない。
デュアルSIMハンドセットの場合、Wi-Fiやカメラといった機能を削って、バッテリーが長持ちするように工夫されている場合も多いようだ。バッテリー持続時間の長さは、特に地方では重視されるポイントらしく、30日も持続するハンドセットが存在するようだ。
【参照情報】
・Dual-SIM Phones Gaining Popularity in India - PCWorld
・Taiwan market: Dual-SIM handsets in growing demand - DIGITIMES
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