▼CTIA - The Wireless Association
7月23日(現地時間)、モバイルキャリアやベンダーから構成されるワイヤレス業界団体のCTIA(Wireless Association。元々はCellular Telephone Industries Association)がサンフランシスコ市当局に対して訴えを起こした。サンフランシスコ市が6月に制定した、いわゆる「セルラーフォン『知る権利』条例」の施行を差し止めることが狙いだ。この条例は、サンフランシスコ市内で携帯電話機を販売する場合に機種ごとにSAR(比吸収率)の表示を義務付けるというもの。こうした条例は全米で初だった。
ベライゾン(Verizon Wireless)、AT&T、T-Mobile、モトローラ(Motorola)、アップル(Apple)など大手をメンバーに持つCTIAは、この条例が電話機の安全性を保証しているFCC(連邦通信委員会)の標準に反していると主張している。FCCの基準以下であるならば、SARのレベルによって電話機の危険性が異なるということはあり得ない(違いがあることが科学的に証明されていない)というのがCTIAの言い分だ。FCCの「無線周波数の安全性」に関するウェブページにも無線の輻射によって神経膠腫や髄膜腫のリスクが上昇する証拠は見られないなどと明記されている。
一方、サンフランシスコ市側は、今回の訴えに当惑しているようだ。今回の条例は、すでに携帯各社が測定済みで公表可能なデータを、消費者に対して、より分かりやすく提示することを求めているだけであり、SARの数値によって販売を制限するなどの手段を採るわけではない。Gavin Newsom市長は、いたって穏健な条例だと言っている。
CTIAは、サンフランシスコ市の条例が明らかになると、さっそく同市で予定されている10月のイベント(2010 CTIA Enterprise and Applications)以降は、サンフランシスコでイベントを開催しないことに決めるなど、対決姿勢を示していた。
【参照情報】
・CTIAのプレスリリース
・Wireless group sues San Francisco over cellphone ordinance -Washington Post
・Cell phone group sues San Francisco over radiation law - San Jose Mercury News
・CTIA strikes back at San Francisco for cell phone radiation ordinance - Washington Post
・FCCの「無線周波数の安全性」に関するページ
・サンフランシスコで携帯電話機の電磁波量の表示義務付けへ
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