アップル、ストリーミング動画配信を提供か - 主要テレビ局と交渉
2010.08.25
Updated by WirelessWire News編集部 on August 25, 2010, 12:45 pm JST
2010.08.25
Updated by WirelessWire News編集部 on August 25, 2010, 12:45 pm JST
アップル(Apple)が、1エピソード99セントでテレビ番組を提供する動画レンタルサービスの開始に向けて、米主要テレビ局と交渉を進めていると、複数の米メディアが報じている。
米国時間24日付のBloombergの報道によれば、アップルはニューズコープ(News Corp.)傘下のFox、CBS、NBCユニバーサル(NBC Universal)、ウォルト・ディズニー(Walt Disney)傘下のABCの各社との間で話し合いを進めているという。またWall Street Journalでは、アップルとディズニーがiTunes経由でのABCの番組配信に関して間もなく契約を結ぶことになりそうだと伝えている。
今回の交渉では、コンテンツの配信がストリーミング形式となり、価格は1エピソードあたり99セントと、アップルがこれまでiTunesでダウンロード販売してきた価格(2.99ドル)より大幅に引き下げられる。またiTunesの利用者はiPadやiPhone、iPod Touchを使ってレンタルした番組を48時間視聴可能になるという。
米国ではネットフリックス(Netflix)やフールー(Hulu)といったネット経由のストリーミング動画配信サービスの人気が高まってきている。すでに1500万人の契約者数を持つNetflixは先頃、エピックス(Epix)という新興ケーブルテレビチャネル(パラマウント、ライオンズゲイト、MGMの各社が株主)との間でコンテンツ供給契約を結んだが、その内容が5年間で総額9億ドル($900 million)を支払うという破格の条件で話題を呼んでいた。いっぽう、NBCやFox、ABCが出資して立ち上げたHuluでは株式公開(IPO)を計画中で、それにより調達した資金で海外市場への進出も視野に入れているという。アップルによるストリーミング動画配信提供は、これらの各社や、さらにはGoogle TVをすでに発表したグーグル(Google)の動きをにらんだものと見られる。
また、アップルでは当初、月額30ドル程度の定額サブスクリプションサービスの提供を目指していたが、これには既存の配信先であるコムキャスト(Comcast)などのケーブルテレビ各社への影響を懸念したコンテンツホルダー側が難色を示したことから、結局1エピソードごとのレンタル配信というカタチに落ち着くことになったという説も一部で報じられている。
なお、各テレビ局(コンテンツホルダー)との交渉がまとまれば、アップルは9月7日に予定する同社のイベントでこの新サービス提供を発表する可能性が高い。同イベントでは、長らく同社の「ホビー」とされていたAppleTVの新バージョン("iTV")が披露されるとの噂も出ているが、この99ドルのiTVは、iPhoneやiPadなどと同じiOSが搭載されるほか、従来のAppleTVにあったハードディスクが外され、ストリーミングコンテンツの再生専用になるとの説もある。
いずれにせよ、アップルが動画配信の事業化に向けて本格的に動き出すことになれば、リビングルーム(テレビ)をめぐる戦いが激化することは間違いなさそうだ。
【参照情報】
・Apple Said to Prepare New 99-Cent TV Show Rental Service - Bloomberg
・Apple Close to Deal With Disney to Rent ABC Shows Via iTunes - Wall Street Journal
・Entertainment: A pointer to profits - Financial Times
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