NSNへファンド会社から出資の打診 - ノキアとシーメンス、検討に前向き
2010.08.31
Updated by WirelessWire News編集部 on August 31, 2010, 10:25 am JST
2010.08.31
Updated by WirelessWire News編集部 on August 31, 2010, 10:25 am JST
ノキア シーメンス ネットワークス(Nokia Siemens Networks:以下、NSN)に対して、複数のプライベイトエクイティ(ファンド)会社から出資に関する打診が寄せられており、同社に出資するノキアならびにシーメンスの両社でも、これに関する交渉に前向きだと、複数の媒体が伝えている。
ノキア シーメンスのラジーブ・スリ(Rajeev Suri)CEOは、30日(現地時間)にスペインで開かれたカンファレンスでのインタビューのなかで、複数のファンド会社から同社への出資に関する打診を受けていることを認めたとBloombergは伝えている。
この話はファンド会社側から自発的に寄せられたもので、「われわれは資金を必要としているわけではなく、ファンド会社と契約をまとめる必要もない。ただ、出資を受けられれば戦略的な選択肢の幅が広がることから、検討を進めるつもり。われわれは資金だけでなく、良いアイデアも同時に求めている」と同CEOはコメントしている。なお、Financial Times(FT)の報道によれば、ブラックストーン・グループ(Blackstone Group)、TPG、シルバー・レイク・パートナーズ(Silver Lake Partners)、ベイン・キャピタル(Bain Capital)などが、NSNへの出資に関心を示しているという。
またノキア、シーメンス両社の関係者も、NSNへの第三者からの出資に前向きであることを認めながら、NSNの設立時に交わされた契約期間の満了時である2013年まで、両社がNSN株式の過半数を持ち続けることになる公算が高いと語ったとFTは伝えている。さらに、この増資が実現した場合には、最大で10億ドルの資金がNSNに投入される可能性があるほか、その後NSNの株式公開(IPO)の可能性が高まるとの見通しにも言及している。
2007年にフィンランドのノキア(Nokia Oyj)と独シーメンス(Siemens AG)が設立したジョイントベンチャー(JV)--出資比率は50対50--であるNSNは、スウェーデンのエリクソン(Ericsson)や仏アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)、中国のファーウェイ(Huawei)やZTEなどとの競争激化や、景気後退による通信事業社各社の投資引き締めの影響から経営が悪化し、2009年には21億ドルの営業赤字を計上。これを受けて、現在同社は、2011年末までに年間7億3300万ドルの経費を削減する大幅なリストラを進めているが、このリストラ策がはやくも奏功して利益率が改善、直近3四半期はわずかながら利益が出る状況まで回復しているという。
そのいっぽうで、NSNは7月にモトローラ(Motorola)の通信インフラ事業を12億ドルで買収すると発表、またそれと前後して、米ハービンガー・キャピタル・パートナーズ(Harbinger Capital Partners)が支援する新興通信事業者ライトスクェアード(Light Squared)から、同社が展開を計画する新たな4Gネットワークの構築と運営に関する総額70億ドルの契約を受注したことを発表していた。
さらに、市場調査会社Dell'Oroが先頃明らかにしたところでは、NSNは2010年第2四半期に大手3社のなかで唯一市場シェアを伸ばし、一時期ファーウェイに奪われていた第2位の座を奪還したという。
【参照情報】
・Gloom starts to lift for Nokia Siemens Networks - Financial Times
・Nokia and Siemens consider private equity talks - Financial Times
・Nokia Siemens Has Received Private Equity Interest - Bloomberg
・Nokia, Siemens open to private equity partnership - FierceWireless
・契約総額70億ドル - ノキア シーメンス、米新興通信会社からLTE関連案件を獲得
・ノキア シーメンス、モトローラの通信機器部門を現金12億ドルで買収へ
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