M2Zの無料ワイヤレスブロードバンド計画、ついに頓挫
2010.09.06
Updated by WirelessWire News編集部 on September 6, 2010, 12:30 pm JST
2010.09.06
Updated by WirelessWire News編集部 on September 6, 2010, 12:30 pm JST
米連邦通信委員会(FCC)は、M2Z Networks社(カリフォルニア州Menlo Park:以下M2Z)が計画していた無料のワイヤレスブロードバンド事業を認めないことを9月1日(現地時間)、同社に伝えた。2005年創業のM2Zは、Kleinier PerkinsやRedpointなど有名VC(ベンチャーキャピタル)の出資を受けて、広告収入により無料のモバイル・サービスをAWS-3周波数帯(2155-2180MHz)で提供する計画を立てていた(AWSはAdvanced Wireless Serviceの略)。
AWS-3の周波数帯はAWS-1(2110-2155Mhz)を使うT-Mobile USAなどから、電波の干渉を理由に反対を受けていた。このほか、Cricket、MetroPCS、AT&T、Comcastも反対を表明していたとのこと。FCCは2007年8月末にすでにM2Z社とNetFreeUSが出した周波数使用許可を求める請願を拒否している。しかし、M2Zは全米の消費者や地方自治体などの声援をバックに、オークションによる上納金に代えて、売上の5%を財務省に納付するという案を提示して、FCCへの訴えかけを続けていた。
M2Zの事業計画は、ワイヤレスブロードバンドと言っても1Mbps以下の低速サービスを広告収入モデルで無償提供し、より高速な有料サービスと組み合わせて収益を得るものだった。月額数10ドルの定額モバイルブロードバンドサービスの契約すら大きな負担となる全米の低所得者層や教育機関、ローカルの自治体などに768kbpsを無償で提供するというM2Zの提案は広く支持を集めていたようだ。「周波数は国民の財産であり、国民のために広告収入を組み込んだ新しいアイデアで電波を有効利用する」という考え方が共感を呼んでいたものと思われる。
M2Z Networksの共同創業者で、同社の会長兼CTOのMilo Medin氏の前職は@Home NetworksのCTO。ケーブルブロードバンドサービスのアーキテクチャ設計に携わっていた。その前はNASAのAmesリサーチセンター(カリフォルニア州Moffett Field)で南極を含む6大陸16カ国200サイトをつなぐ連邦コアネットワークの建設に従事している。
FCCはM2Zの要望を拒否した理由は明確に示していないようだが、干渉問題以外に、FCCにはAWS-3の周波数帯について何か別の計画があるのかもしれない。
【参照情報】
・M2Z Free National Wireless Broadband Plan Finally Dies (DSL Reports)
・Plan For Nationwide Free Wireless Broadband Finally Shot Down (WIRED)
・M2Z's Hopes for a Wireless Network Are Crushed (WirelessWeek)
・未使用周波数帯での無料無線サービス計画,FCCが2社の許可申請を拒否 (ITpro)
・M2Z Networksウェブサイト
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