メキシコは地デジ化を6年前倒ししてモバイル利用促進へ 700MHz帯オークションは2012年までに実施か
2010.09.07
Updated by WirelessWire News編集部 on September 7, 2010, 17:00 pm JST
2010.09.07
Updated by WirelessWire News編集部 on September 7, 2010, 17:00 pm JST
メキシコのテレビは当初2021年(11年後)までにアナログからデジタルに完全移行する計画だったが、任期2年を残すFelipe Calderon大統領は、9月2日、計画を6年前倒しして2015年までに地上波デジタルに移行し、任期最後の2012年までに現在アナログテレビで使われている700MHz帯を4Gモバイルとインターネットに転用するためのオークションを実施することを指示した。
メキシコのアナログテレビはテレビサ(Grupo Televisa)とTVアステカ(TV Azteca)の2社が市場を席巻しており、競争を促さないことに批判が寄せられていたという。デジタル化により放送局の新規参入のほか、電気通信事業者との競争が始まることも期待できる。
携帯電話市場もAmerica MovilとスペインのTelefonicaの2社が市場を押さえているが、隣国アメリカ合衆国でAT&TとVerizon Wirelessが2008年のオークションで獲得したのと同じ700MHzを求めて、外資を含む多数のモバイル事業者が争うことになるだろう。
隣国アメリカでは紆余曲折の末、2009年6月にアナログが停波しており、ATST(Advanced Television Systems Committee)方式に完全移行している。メキシコも同じATSTへの移行を2004年7月から徐々に進めており、当初計画では、6つのフェーズに分けて(現在は第3フェーズ)、2021年までに完全移行する予定だった。現在、メキシコ全国でデジタルテレビを視聴している世帯はすでに360万に上っているが、2100万世帯にはまだデジタル・サービスが到達していないとのことだ
メキシコ政府は2011年からテレビ視聴世帯につき60ドル(1ドル=84.20円換算で約5,052円)の補助金を支給するほか、デジタルチューナーが適正価格で輸入できるよう働きかける。TVアステカ社が206ドル(約17,345円)のアナログ・デジタル変換ができるボックスとアンテナのセットを販売している。
地デジ化で放送局の数が増え、高品質なテレビが視聴できるようになるとともに、従来のテレビとは別のサービスとのバンドル化も期待されている。Calderon大統領は、コミュニケーション、内務、財務、経済、教育の各省庁からなる委員会を設置して、デジタル移行のコーディネートに当たらせる計画だ。
最近ではアメリカのNextelがテレビサと組んで、メキシコで行われる3Gの周波数オークションに応札する意向を表明しており、7月19日には落札したら14億7000万ドル(約1237億7400万円)を投じてネットワークを構築すると発表した。700MHzのオークションの時期については明らかにされていないようだが、LTEに割り当てられる可能性が高く、新規参入も十分に期待できる情勢にあるようだ。
【参照情報】
・Calderon decrees Mexico DTV switch by 2015 (RAPID TV News)
・Mexico Speeds Up Digital-TV Transition, Will Compete With Grupo Televisa (Bloomberg)
・Mexico digitalizes TV for wireless space (Reuters)
・米国が地デジ移行 「大きな混乱はなし」 (ITmedia)
・Nextel Mexico Pledges MNX18.9 Billion Investment If It Wins Auction (FOXBusiness.com)
・Mexico (List of digital television deployments by country) (Wikipedia)
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