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[先週の動き]電子書籍が本格始動に向けて胎動、CEATECを前に各種の発表が続々

2010.10.04

Updated by WirelessWire News編集部 on October 4, 2010, 10:00 am JST

10月5日〜10月9日に開催されるCEATEC JAPAN 2010を目前にして、先週は多くの発表が相次いだ。特に電子書籍にまつわるニュースは話題をさらった。

201010041000-1.jpgそのネーミングから反響を呼んだのは、シャープの電子書籍サービスと新端末。なんと、日本市場の閉鎖性を示して使われることの多い「ガラパゴス」を、あえて採用した(関連記事:シャープ、電子書籍サービスと端末を発表、端末は名付けて「ガラパゴス」)。ダーウィンの進化論の象徴としてガラパゴスの名前を付けることで、進化する端末の意味を込めたという。

サービスは12月に開始する予定で、新聞、雑誌、書籍などの約3万のコンテンツを用意する。端末は2機種で、5.5インチのディスプレイを搭載するモバイルタイプと、10.8インチのディスプレイを搭載するホームタイプを用意する。ソフトウエアのプラットフォームはAndroidを採用したという。12月のサービス開始とともに発売する。電子書籍では、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの各グループがそれぞれアライアンスを組んで事業展開を進めている。こうした中でシャープは、ひとまず自力でサービスと端末提供を始める立ち位置を選んだことになる。

201010041000-2.jpg一方、NTTドコモも電子書籍サービスの実用化に向けて1つステップを進めた(関連記事:NTTドコモ、Xperiaなどに向けて電子書籍トライアル)。Xperiaなどのスマートフォンを対象として、10月下旬から12月下旬にかけて電子書籍のトライアルサービスを行うのだ。トライアルサービス期間中の利用は無料。トライアルで得られたユーザーからの意見を取り入れて、2011年の年明けの本格サービス開始に弾みを付ける。

コンテンツプロバイダーとしては、電子版の提供に積極姿勢を見せる日本経済新聞社が、新しい動きを見せた(関連記事:日本経済新聞の電子版がGALAPAGOSやiPhoneで閲覧可能に)。電子版の対象となる端末を、シャープが発表したばかりの「ガラパゴス」と、スマートフォンの代名詞でもあるiPhoneに拡大する。

もう1つ、電子書籍に関連するニュースがあった。ソフトバンクグループのビューンが、ソフトバンク携帯電話に向けたサービスを開始したのだ(関連記事:ビューン、ソフトバンク携帯電話向けのサービスもようやく開始へ)。6月1日のサービス開始直後にアクセス集中でサービスの停止を余儀なくされたビューンだが、ようやく当初計画していた端末のすべてで利用できるようになった。

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サービスの拡充に向けた施策が続々

201010041000-3.jpgCEATEC直前ということもあって、新サービスへの動きも活発だった。まず、UQコミュニケーションズが報道関係者向けに説明会を開催した(関連記事:UQコミュニケーションズ、DC-HSDPAに対するWiMAXの優位性を強調)。話題の中心の1つは、新プランの「WiMAX PC バリューセット」。出荷したWiMAXパソコンのうちのサービス契約率を上げるための施策である。2カ月の無料利用だけでなくその後も「使わない月は無料」という安心感を与え、まずユーザーに体感してもらおうという考えだ。さらに、今後のサービスの展開や他社方式に対する優位性の説明、CEATECで実証実験が公開される「WiMAX2」の概要紹介などが行われた。、

201010041000-4.jpgKDDIとウェザーニューズは、au携帯電話およびauスマートフォン向けに気象情報サービスを協業して提供することを発表した(関連記事:携帯電話基地局に気象センサーを設置。KDDIとウェザーニューズが協業による新サービスを発表)。KDDIの携帯電話基地局に気象観測設備を設置し、ウェザーニューズの気象情報サービスに活用する。また併せてウェザーニューズの新サービスとして、携帯電話の位置情報と連動した天気情報サービス「ソラテナ」を提供する。KDDIはユーザーとの接点の拡大を進めており、1日に1回は見る天気予報をきっかけにした導線を拡充する。

NTTドコモは地図やナビゲーション関連で2つの施策を発表した。1つが、カーナビ向けのサービスの提供(関連記事:NTTドコモ、カーナビ向け情報サービス「ドコモ ドライブネット」を提供開始。)。カーナビゲーションシステムや、スマートフォンなどの端末に向けて、地図情報や交通情報、観光施設の情報などを配信する。当初は、FOMA対応通信モジュールを内蔵した三洋電機のポータブルナビゲーション「ゴリラプラス」に向けてサービスを提供する。

もう1つが、iモード携帯電話とパソコンで共用できる「ドコモ地図ナビ」の提供である(関連記事:NTTドコモ、地図&ナビのサービスを一新して自社提供へ)。ゼンリンデータコムが提供していた既存サービスを拡充して、NTTドコモのサービスとして提供する。これにより、iメニューで「地図」ボタンを押すだけで現在地の地図を表示するといった公式サービスとの連携を高めた。

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HYBRID W-ZERO3が販売再開、KDDIはフェムトセルを全国へ

201010041000-5.jpg端末に関するニュースも相次いだ。ファンの間で話題になったのは、ウィルコムのスマートフォン「HYBRID W-ZERO3」の販売再開のニュースだった(関連記事:ウィルコム、3G回線をソフトバンク網に変更して「HYBRID W-ZERO3」の販売を再開)。従来、3G回線としてNTTドコモの網を利用していたが、今回は新しくソフトバンクモバイルの3G網を利用する。ソフトバンクモバイル網に対応した新端末でサービスを受けられる。

販売再開といえば、NTTドコモのLINXの販売がようやく再開されたことが思い出される(関連記事:NTTドコモのLINX、延期されていた販売開始を10月2日に再開)。悪意のあるプログラムに対する弱点が見つかって販売停止になった上に、メールの送信に不具合があることも判明して再度の販売停止となっていた。

また、端末の大規模なソフトウエアアップデートの発表がKDDIからあった(関連記事:KDDI、セキュリティ認証仕様の変更によりau携帯電話101機種をアップデート)。セキュリティの認証仕様を変更することにより、EZwebなどにつながらない事象が起こる可能性があるとのこと。これは不具合に起因するものではないが、周知の徹底を望みたい。

一方、KDDIは自宅で利用する小型基地局「auフェムトセル」の提供エリアを10月1日から沖縄を除く全国に拡大すると発表した(関連記事:KDDI、auフェムトセルの提供エリアを全国に拡大)。電波環境の改善の施策の1つで、これまで首都圏の1都3県に限って提供していたが、10月からは全国で利用できるようになった。

201010041000-6.jpg興味深いソリューションの発表もあった。iPhoneをクレジットカードの決済端末として使うフライトシステムコンサルティングのソリューションだ(関連記事:iPhoneでクレジットカード決済できる法人向けソリューション)。iPhoneにクレジットカードリーダー付きの専用ケースを付けて利用する。決済は三菱UFJニコスのサービスを利用する。宅配業務や訪問販売員による代金回収のソリューションを、iPhoneで低コストに構築できる。

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