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[先週の動き]KDDIは逆転攻勢に狼煙、キャリアーの動きが続々

2010.10.25

Updated by WirelessWire News編集部 on October 25, 2010, 10:00 am JST

10月18日の週は、KDDIが怒涛の新製品発表会を行ったニュースで幕を開けた。スマートフォンの流れに出遅れ、ジリ貧とも言える状況からの挽回を目指す。まずその一連のニュースから確認していこう。

KDDI、新製品や提携、新サービスなど盛りだくさんの発表

KDDIは2010年秋冬-2011年春モデルの新製品を発表した。新ラインアップは、10月4日にお披露目したシャープ製Android搭載端末「IS03」を含むスマートフォンが4機種、フィーチャーフォン(従来型のケータイ)の17機種(発売済も含む)に加え、電子ブックリーダーを1機種、データ通信専用端末を2機種、そしてタブレット型インターネット端末を1機種からなる。

201010251000-1.jpgまずスマートフォン。auのスマートフォン「ISシリーズ」のラインアップに、東芝製「REGZA Phone IS04」、シャープ製「IS05」、Pantech製「SIRIUSα IS06」の3機種を追加する(関連記事:KDDI、Android搭載スマートフォンを新たに3機種発表)。これにより今期発売予定のISシリーズは、10月4日に発表済みのシャープ製「IS03」を含めて合計4機種となる。4機種はすべてOSにAndroidを採用、「Android au」の意気込みを示した。IS03は11月下旬以降、その他は12月下旬以降に、順次発売が開始される予定だ。

フィーチャーフォン(従来型ケータイ)は、17機種をラインアップ。このうち「X-RAY」と「G11」の2機種は「iida」ブランドの新モデルで、デザイナーとのコラボレーションによるデザイン性の高い端末が用意される。(関連記事:MIL規格準拠のタフネス端末から無線LANアダプタまで登場した、KDDIの新モデル発表会)。

iidaの2機種を除き、フィーチャーフォン全機種が防水機能に対応する。その中でも、タフネス性能を追求した「G'zOne」シリーズの最新モデル、カシオ計算機製「G'zOne TYPE‐X」は、IPX5/IPX8の防水機能 と IP5Xの防塵機能のほか、アメリカ国防総省が制定したMIL規格に準拠する耐衝撃性能を併せ持つ。

また、モバイル無線LANルーターの新製品やフィーチャーフォンに装着してテザリングを可能にするアダプタ、従来に比べ最大3倍の通信速度を実現する「WIN HIGH SPEED」など、多様化するモバイルWi-Fi機器に対応した端末やサービスも投入する。

201010251000-2.jpgまた合わせて発表されたのが、ルクセンブルグのスカイプ・テクノロジーズ(スカイプ) との戦略的包括提携である(関連記事:KDDI、2010年秋冬-2011年春モデル新製品発表会で、スカイプとの戦略的包括提携を発表)。その第一弾として両社は、KDDIが今後発売するAndroidスマートフォン対応の専用アプリケーション「Skype au」を配信し、さらに2011年にはBREWを搭載するフィーチャーフォンへと対応機種を拡大させていくという。
さらに、ソーシャルアドレス帳機能アプリ「jibe(ジャイブ)」の提供開始を発表した(関連記事:KDDI、16のソーシャルメディアをまとめて利用できるソーシャルアドレス帳「jibe」を発表)。jibeは、Twitterや、au one GREE、mixiなどのSNSサービスや、Amebaやココログなどのブログサービス、ぐるなびやlivedoorグルメなどの店舗情報サービスなどネット上で提供される16のサービスをまとめて利用できるアプリケーション。SNSと携帯電話のサービス融合を一歩進めたアプリだ。

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ドコモはGALAXY Sの発売を28日に決定、iアプリマーケットの登録開始

201010251000-3.jpgNTTドコモは、10月5日に発表したスマートフォン「GALAXY S」を10月28日に発売すると発表した(関連記事:NTTドコモ、GALAXY Sを10月28日に発売、電子書籍トライアルも同時に開始)。GALAXY Sは、韓国のサムスン電子が製造するグローバルモルのスマートフォン。4インチの大画面有機ELディスプレイの採用や、Android 2.2の搭載など、先端の機能を備えている。iモードのメールアドレスでメールができる「spモード」にも対応する。また、10月下旬に始めるとしていた電子書籍トライアルは、GALAXY Sの発売と同日の10月28日に開始することが決まった。

既存の携帯電話サービスに向けた動きもあった。NTTドコモは同社のアプリマーケット
「ドコモマーケット」でiモード向けのコンテンツ提供者の登録受付を開始した(参考情報:ドコモマーケット iアプリ提供者向け情報)。これにより、開発したiアプリをドコモマーケット(iモード)に提供できるようになる。iアプリを提供したい開発者は、事前に「コンテンツ提供者」として登録する必要がある。

KDDIはWi2子会社化、日本通信はコンシューマにシフト

201010251000-4.jpgKDDIがワイヤ・アンド・ワイヤレス(以下Wi2)を子会社化する発表があった(関連記事:KDDI、公衆無線LANサービスのワイヤ・アンド・ワイヤレスを子会社化)。Wi2が10月22日に実施した第三者割り当て増資(4.5億円)をKDDIが引き受け、Wi2の発行済み株式総数の52.4%を取得する。KDDIは、Wi2の今後の事業展開に向けた財務基盤の強化を図るとともに、KDDIのユーザーに対してWi2のWi-Fiサービスを提供するなどを検討する。

日本通信は2つの発表を行った。まず、SIMフリー版のiPhone 3GSで使えるSIMカードの提供(関連記事:日本通信、iPhone 3GSをドコモ網で使えるSIMを提供)。同社が9月から提供しているiPhone 4向けのマイクロSIM製品「talking b-microSIMプラチナサービス」の通常SIM版で、一世代前のiPhone 3GSで同サービスを利用できるようにした。

もう1つの発表は、平成23年3月期第2四半期にキャッシュベースの収支であるEBITDAにおいて初めて黒字化を達成したこと(関連記事:日本通信、SIM製品などコンシューマ市場の好調を受け経営資源を同市場に集中)。また、コンシューマ市場向けの製品が好調に推移し、2010年9月単月では単体売上高の65%以上を占め、今後はコンシューマ市場に経営資源を集中することも公表した。コンシューマ市場にシフトする戦略により、これまで法人市場に従事していた人材の人員削減を実施。役員および社員の人件費の削減も実施し、黒字の常態化を目指す。

キャリアーの動きとしては、イー・モバイルが電話サービスのユーザーを対象としたプランに、オプションの値下げと新プランの導入を行うという発表もあった(関連記事:イー・モバイル、電話サービス向けプランの値下げと新プランを発表)。値下げするのは、「ケータイ定額プラン」のオプションサービス「データ定額オプション」で、月額料金を300円引き下げる。新設するのは、「ケータイプラン」向けの割引サービス「にねん得割」である。

一方、災害による影響もあった。10月20日の鹿児島県奄美地方の大雨により、現地の携帯電話ならびに固定電話サービスに影響が出ている。また、奄美市および龍郷町に対して災害救助法が適用されたことを受け、10月21日から22日にかけ、携帯・PHS各社は、災害救助法適用地域に対する支援措置を発表した(関連記事:奄美地方の大雨に対し、携帯電話各社が支援措置を発表)。

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iPadやiPhoneの業務活用ソリューション

iPadやiPhoneなどを業務に活用するためのソリューションが続々と発表されたのも先週のトピックあろう。

電通国際情報サービスの子会社のISIDインターテクノロジー(ISID-IT)は、iPadでの営業プレゼンの訴求力を高めるための営業支援プラットフォームを開発したと発表した(関連記事:iPadで自由なストーリーでプレゼンできる営業支援ツール、ISID-ITが開発)。新開発の営業支援プラットフォームは、iPadのグラフィカル機能を活用した営業プレゼンのストーリーを、プログラミングの知識なしでタップ操作だけで作れる。

201010251000-5.jpgアンサンシステムズは、オーダーエントリーシステムの「スマートオーダーエントリー」を発表した。スマートオーダーエントリーでは、飲食店の注文管理をiPhoneを使って受けられるようになる。また、シーエフ・カンパニーはiPhone/iPod Touchにプリンターとバーコードリーダー、磁気カードリーダーの機能を付加できるユニット「iAPS」を発表した。米Daily Systems社のユニットで、iPhone/iPod Touchに装着することで、前出の機能を付け加えられる(関連記事:iPhoneを店頭の業務端末に! ソリューションが続々)。

201010251000-6.jpgさらにエス・アンド・アイは、小規模企業向けのスマートフォン対応PBXソリューション「uniConnect mini for Voice」を発表している(関連記事:エス・アンド・アイ、スマートフォンの通話料金を軽減できるPBXソリューション)。いわゆるPBX(構内交換機)の機能を提供するソリューションで、スマートフォンから通話したい場合に会社の固定回線から発信する。これにより、スマートフォンから発信者番号を会社の番号にして通話できるほか、通話料金を安く抑えることが可能になる。

スマートフォンやiPadを業務のさまざまな側面で活用する、インフラやサービス、ハードウエアが急速に整ってきている印象だ。使いやすく安価な汎用端末を使うことで、業務のIT化が一層広がりそうだ。

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