スカイプでCEO交代へ - シスコシステムズの「期待の星」を抜擢
2010.10.05
Updated by WirelessWire News編集部 on October 5, 2010, 13:31 pm JST
2010.10.05
Updated by WirelessWire News編集部 on October 5, 2010, 13:31 pm JST
株式公開(IPO)を視野に入れるインターネット電話サービス大手のスカイプ(Skype)が、経営トップの交代を発表した。新しいCEOとなるトニー・ベイツ(Tony Bates)氏は43歳と若手ながら、シスコシステムズ(Cisco Systems:以下、シスコ)でエンタープライズ部門ー年間売上約200億ドル、部門従業員数は約1万2500人ーを率いる同社の期待の星」と目されていた幹部。また、イーベイ(eBay)からスカイプに派遣され、2008年以来CEOを務めるジョシュア・シルバーマン(Joshua Silverman)氏は、新CEO就任後も同社に留まる見通しだという。
インターネット経由でユーザー同士が無料で通話やチャットを行え、また固定電話や携帯電話とも割安に通信できるスカイプは、もともとファイル交換ソフト「Kazaa」の開発者らが立ち上げたP2Pのコミュニケーション・サービスで、スタートから短期間で多くのユーザーを獲得、2005年には約26億ドルでイーベイに買収されたが、イーベイ傘下では期待されたほどのシナジーを生み出すことができずにいた。その後、2009年11月に、PEファンドのシルバー・レイク・パートナーズ(Silver Lake Partners)が率いるグループが株式の過半数を握り、それ以来独自の事業展開を目指している。
同社の現在の株主には、上記のシルバー・レイク・パートナーズに加え、イーベイ(30%)、創業者グループ(14%)、さらにマーク・アンドリーセンが率いるVCのアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)らも名前を連ねている。
スカイプは今年8月に、米SECに株式公開の申請書類を提出しているが、具体的な公開の期日は未定のままである。なお、シルバー・レイク・パートナーズが株式を取得した時点での評価額は推定で27億5000万ドルとされている。同社の経営はすでに黒字化しており、今年上半期の売上は4億600万ドルで13億の利益をあげている。
スカイプの現在の登録ユーザー数は全世界で約5億6000万人で、毎月利用するアクティブユーザーだけでも約1億2400万人にのぼるものの、有料サービスの利用者は810万人に留まっている。このため、ベイツ新CEOに課される課題のひとつは収益力の強化となるが、この方面ではすでに先週、企業向けVoIPサービスを提供するアバイヤとの提携を発表している。またスカイプと全世界で5億人以上の登録ユーザー数を持つフェイスブック(Facebook)が提携を模索しているとの情報も一部で流れている。
いっぽう、シスコでは以前からコンシューマ向け製品の強化を進めており、近日中にローコストのビデオ会議システム製品群を発表すると見られており、この一部がコンシューマ向けになる可能性があると、New York Timesでは指摘している。
なお、ベイツ氏は2006年にYouTubeがグーグルに買収されるまで、YouTubeの社外取締役を務めていたなどの経歴の持ち主。また、スカイプには同じく元シスコのジョナサン・ローゼンバーグ(Jonathan Rosenberg)氏が2009年11月にCTOとして参加しているという。
▼About Skype: Who makes Skype?
【参照情報】
・Cisco Executive Is Named Chief of Skype, as New Owners Build a Leadership Team - New York Times
・Skype Hires Cisco Executive as CEO - Wall Street Journal
・Skype Wants to Connect to the Office - New York Times
・Facebook, Skype Ponder Alliance - Wall Street Journal
・Cisco to Unveil an Affordable Home TelePresence Product for Consumers Next Week - All Things D
・In a Sale, Skype Wins a Chance to Prosper - New York Times
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