地下鉄のアンテナ工事について、移動通信基盤整備協会に聞いてみた
2011.01.25
Updated by WirelessWire News編集部 on January 25, 2011, 10:40 am JST
2011.01.25
Updated by WirelessWire News編集部 on January 25, 2011, 10:40 am JST
1月20日、ソフトバンクモバイルの孫正義社長と東京都副知事の猪瀬直樹氏が会談し、東京都営地下鉄で走行中も携帯電話が使えるよう、移動通信基盤整備協会を通じて地下鉄トンネル内のアンテナ設置を行う方向で合意したと報じられた。2011年内にも主要部分で使えるようにするという。また同日、東京メトロも、トンネル内のアンテナ設置については同協会に全面的に協力しており、近日中に合意できると考えている旨のコメントをしている。
社団法人移動通信基盤協会(以下「協会」と呼ぶ)によれば、地下鉄内のアンテナ設置は、トンネル内などの移動通信を可能にするための移動用中継施設の整備を行う「電波遮へい対策事業」として実施するもの。ちなみに、同事業の対象には鉄道トンネルの他、高速道路トンネル、地下駅、公道の地下にある地下街、地下駐車場などが含まれている。それぞれの案件については、自治体や(ユーザーの要望を受けた)携帯電話事業者から協会に対して要望が出され、協会であらためて携帯電話事業者に対して事業への参加希望を募り、実施の目処が立てば関係者との調整に入るということだ。
整備費用およびその後の運用管理費については、原則として、事業に参加する携帯電話事業者が、使用する周波数帯やバンド幅などに応じて決まる分担ルールに従い、それぞれ「設備負担金」「管理負担金」として分担する。そのため、「協会が費用を負担する」といっても、実質的には通信事業者の負担となるわけだ。したがって、どこで事業を実施するかは、「携帯電話事業者の意向が強くはたらく」(同協会)ことになるという。
ちなみに、同協会の平成22年度収支予算書 [PDF]によれば、「電波遮へい対策事業会計」における設備負担金収入の総額は約250億円。朝日新聞の報道によれば、整備費用は都営地下鉄と東京メトロをあわせると全線で約200億円とのことであり、例年の予算と比べると、1年で全てを行うわけではないにせよ、相当な規模となることがうかがえる。
また、協会で工事を行うのは、事業に参加する携帯事業者の共用設備。具体的には、電源、光伝送装置、光ファイバー、アンテナなどを協会の所有資産として整備し、基地局と交換局までの専用回線については、各携帯事業者が整備することになる。
▼トンネル内光中継方式の設備概要
鉄道事業者との具体的な調整事項としては、共用設備の設置場所、工事のスケジュールなどがある。都営地下鉄についても、具体的にどこに共用設備を設置するかを現在検討中とのことで、今年中に利用できそうになりそうな区間はどのあたりかという質問に対しても、「今のところまだ何も言えない段階」との回答だった。まもなく合意に至る見込みという東京メトロの整備計画とも合わせ、今後どのように整備が進められるか決まるまでには、まだしばらくかかりそうだ。
【参照情報】
・社団法人移動通信基盤整備協会
・携帯電波、地下鉄車内へ届けます 通話はご遠慮を(asahi.com)
・地下鉄内、メール可に 都営が年内、メトロも前向き(東京新聞)
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