【企業名】Dasur Ltd
【所在地】イスラエル
【URL】http://www.mobiletextinput.com/
この技術は恐らく日本語には向かないかも知れないし、ローマ字入力に慣れていても、習熟するのは大変そうだ。
キーボードを1文字ずつ叩くと、途中で入力したい単語を端末側で予測して候補をいくつも表示してくれる技術は携帯電話でもスマートフォンでも日本の端末のみならず、他言語でも普及している。通常は1文字1文字、指先やスタイラスで小さなキーを押すことになる。
Dasur社のSlideITでは、指をスクリーンから離さずに動かす。ローマ字で例えば「BUT」と入力する場合、中央一番下の「B」から始まって、指を離さぬままやや右寄りの上へ動かし、の一番上の「U」に触れ、左に曲がって、2文字先の「T」に触れる(指をスライドさせるからSlideITなのだ)。この三角形の2片の動きをSlideITは「but」だと認識してそう表示する。
特別なハードは不要で、このアプリケーションはAndroid版、iPhone版、BlackBerry版、Windows版、Symbian版などが揃っていて、3ドル99セントから5ドル99セント程度。ドイツ語やフランス語、イタリア語など欧州各国の言語に対応している。無料体験版もあるようだ。小さなブースだが人目は惹くようで、スマートフォンの画面をなぞってみる人がひっきりなしに訪れているようだった。20年以上に渡って研究してきたパターン認識のエンジンを利用しているそうだ。
ローマ字などを使っている言語では、文字の順番通りに指を動かせばいいので、デモ版に触れている人々からの反応はよさそうだった。いくつもの単語をスイスイと入力していた。しかし、日本語でローマ字入力している場合、日本語の単語とそのローマ字表記とキーボードの配列を瞬時に結びつけて動かすことができないので、何度か試みたが上手く使えるようにならなかった。
欧米の人が1文字ずつの入力にストレスを感じていることは確かなようで、プロモーション次第では日本以外の国々で流行するかも知れない。欧米の人々が、スマートフォンなどでのソフトキーボードの入力の遅さに困って、有料でSlideITを購入するかどうか興味深い。
文・幸野百太郎(テレコム分野の仕事に従事)
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