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[2011年 第6週]ケータイ純増はKDDIが最下位、モバイルワールドコングレスに向けた国内企業の発表も

2011.02.14

Updated by WirelessWire News編集部 on February 14, 2011, 10:00 am JST

立春を過ぎ暦の上では春になったというのに、首都圏でも雪が降る荒天。それを思わせる番狂わせが携帯電話の純増数で起こった。また、国内でも、NTTドコモをはじめ、MWC2011に向けた発表が相次いだ。

スマートフォン人気は誰にメリット?

電気通信事業者協会(TCA)が発表した2011年1月末の携帯電話・PHSの事業者別契約数では、携帯電話の純増首位は変わらずソフトバンクモバイルだった。番狂わせというのは、KDDIの順位。イー・モバイルやBWAのUQコミュニケーションズにも抜かれて最下位に転落したのだ。KDDIはスマートフォンの「IS03」が好調な販売を見せているとしているが、それが純増数の数値に勢いとして表れていないようだ。

新プランの提供から2カ月めに当たるPHSのウィルコムは、それまでの4万前後の純減から400の純減に減少を抑えた。BWAのUQコミュニケーションズは、7万5900の純増で累計契約数を60万300と60万の大台に乗せた(関連記事:1月の携帯電話純増契約数、KDDIが新興勢力にも抜かれて最下位に

201102141000-1.jpg電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2010年12月の移動電話国内出荷実績を見ると、290万6000台で前年同月比108.4%となり、2カ月連続で前年同月を上回った。移動電話の出荷実績は、2010年4月〜12月の累計でも前年同期を上回る107.9%の数値となった。JEITAでは「市場でのスマートフォン人気の高まりが、移動電話の出荷にも良い影響を与えている」と分析しているように、市場にはスマートフォン普及による効果が表れている。2010年1月〜12月の暦年実績では、3327万8000台で前年同期比で106.3%となり、3年ぶりに暦年で前年の出荷実績を上回った(関連記事:移動電話機の出荷、スマートフォン効果で2010年12月も続伸)。

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MWCに向けての発表が相次ぐ

2月14日〜17日にスペインのバルセロナで開催されるモバイル関連の世界的な展示会「モバイルワールドコングレス」(MWC)に向けた国内企業の発表もあった。MWC会場で展示を行うソリューションや技術である。

NTTドコモとシマンテックは、ノートパソコン向けの情報漏えいを防ぐソリューションを共同で開発し、2011年度第2四半期の提供を目指す。ノートパソコンの起動をロックしたりハードディスク内のデータへのアクセスを無効化する操作を、NTTドコモのFOMAネットワークを介して遠隔から行えるようにする。シマンテックのソフト、インテルの技術、エリクソンの通信モジュールなどを組み合わせたソリューションだ(関連記事:ドコモとシマンテック、ノートPCを遠隔操作でロックやデータ消去するソリューション)。

NECは、サービスエリアが異なる複数の基地局が混在する環境で、通信品質を自律的に最適化して管理するSON(Self Organizing Network)技術の開発を発表した。今後、NECが提供するLTEの基地局やネットワーク管理装置への早期実用化を目指す。基地局のカバー範囲境界での通信速度低下や通信の途切れに対して、大きな効果がある(関連記事:NEC、LTEネットワークの自己最適化技術「SON」を開発)。

201102141000-2.jpgNTTドコモは、韓国の通信事業者KT Corporationとの間で、日韓間におけるAndroid端末を利用したNFCサービス相互利用に向け、2国間でシームレスに連携したNFCサービスの2012年末提供開始を目指すことで合意した。ドコモとKTは事業協力の検討を行っており、日韓両国における顧客利便性の向上を目指している。今後NTTドコモは、韓国を皮切りに、世界のNFCサービスが相互利用可能な環境作りを促進していく(関連記事:NTTドコモとKT、2012年末のNFCサービス相互利用提供を目指す)。

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日韓のNFC実験はKDDI、ソフトバンクも

201102141000-3.jpgNTTドコモとKTだけでなく、KDDI、ソフトバンクモバイルも韓国SK Telecomと共同でNFCの実験を行う。KDDI、ソフトバンクモバイルなど国内7社は、日本と韓国で利用できるモバイルNFC対応サービスの共同実験を2月に開始する。実験を行うのは、「電子マネーサービス」と「スマートポスターサービス」の2種類。国をまたいで「かざすケータイ」のサービスを実証実験をすることで、早期の商用化やグローバル展開をめざす(関連記事:日韓でNFC対応の電子マネーやタッチ式ポスターの共同実験がスタート)。

KDDIは、このほかにも新しいサービスに向けての国際的な協力を行う。位置情報を利用したソーシャルサービスの拡大に向けて、米foursquare Labsと協力関係を構築することで合意した。これを受けてKDDIでは、2月10日に発売した「REGZA Phone IS04」、2011年春に発売する「IS05」の両スマートフォンにfoursquareのアプリケーションのショートカットをプレインストールする(関連記事:KDDI、位置情報利用のソーシャルサービス拡大に向けてfoursquare Labsと協力関係へ)。

4G、ワイヤレス給電など新技術も

新しい技術への取り組みのニュースもあった。NTTドコモは2011年2月7日、第4世代(4G)移動通信方式「LTE-Advanced」の実験用無線局の予備免許を取得したと発表した。予備免許は、神奈川県横須賀市および相模原市におけるもの。今後、実験試験局の免許を受け次第、実証実験を開始する。LTE-AdvancedはLTEとの互換性を保ちながら、広帯域化を可能にする技術などを組み込んだ通信方式。3GPP(3rd Generation Partnership Project)で標準化が進められている(関連記事:NTTドコモ、4Gの予備免許を取得、横須賀などで実証実験を開始へ)。

201102141000-4.jpgもう1つは新技術の実用化のニュース。日立マクセルは、ワイヤレス給電規格の「Qi」(チー)に準拠したiPhone 4向けのワイヤレス充電機器を4月25日に発売する。製品は、ワイヤレス送電パッドと、iPhone 4用のワイヤレス受電スリーブで、受電スリーブを取り付けたiPhone 4を送電パッドの上に置くだけで、ケーブルを接続することなく充電ができる。Qiは、Wireless Power Consortiumが策定したワイヤレス給電の規格で、国際標準化が進められている(関連記事:日立マクセル、iPhone 4向けのワイヤレス充電機器を4月に発売)。

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