[2011年第8週]春商戦を狙いスマートフォンやタブレット端末が続々発表、Androidで日本語版マルウエアも
2011.02.28
Updated by WirelessWire News編集部 on February 28, 2011, 10:00 am JST
2011.02.28
Updated by WirelessWire News編集部 on February 28, 2011, 10:00 am JST
スペイン・バルセロナで開催されていたMobile World Congress 2011の熱気が日本にも伝わってきたかのように、第8週は製品の発表が目立った。この春商戦に向けての各社の新製品が明らかになり始めたというわけだ。
販売ボリュームが年間で最も多くなる季節の一つである春。この商戦期に向けて第一弾の製品発表が行われた。春は進入学のシーズンであることもあり、これまではボリュームゾーンを狙った製品が多い傾向にあったのだが、そのタイミングで各社はスマートフォンやタブレット端末といった先進端末を投入してきた。時代が移り変わっていることの一つの表れといえそうだ。
NTTドコモは、スマートフォン2機種とタブレット端末1機種の計3機種を3月に順次発売すると発表した。スマートフォンの1台目は、厚さ7.7mmと世界最薄をうたうNECカシオモバイルコミュニケーションズの「MEDIAS N-04C」で、薄いボディーに、おサイフケータイやワンセグなどの国内向け機能も盛り込んだ。最新のAndroid 2.3を搭載したのがソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「Xperia arc SO-01C」。下り最大14Mbpsの新サービスへの対応準備を整えたほか、暗所撮影に優れた裏面照射型CMOSセンサーやテレビにHD出力が可能なHDMI出力機能を搭載した。
NTTドコモが発表したタブレット端末は、8.9インチ液晶を搭載したLGエレクトロニクスの「Optimus Pad L-06C」である。デュアルコアCPUを搭載して、通常の操作から動画コンテンツの再生までをスムーズにこなす(NTTドコモ、極薄の「MEDIAS N-04C」や下り14Mbps対応の「Xperia arc」などを3月発売)。
日本通信は「Light Tab」(ライト・タブ)と名付けたタブレット端末を発表した。7インチの液晶、Android 2.2を搭載したZTE製の端末である。SIMロックフリーで、10日間の定額データ通信SIMが付属して3万9800円という価格が魅力的。別途、接続したWi-Fi機器が3G回線経由でインターネットにアクセスできるテザリングにも対応する。
KDDIもタブレット端末市場に算入する。7インチ液晶、Android 2.2を搭載したWi-Fi対応のサムスン電子製「SMT-i9100」である。3G通信機能は提供しないため、外出先での通信には公衆無線LANサービスの利用や、同社のモバイルルーター「Wi-Fi WALKER DATA05」、またWiMAX対応のモバイルルーターの利用を薦めている。
このほかにも、富士通が2月24日に法人向けのスレート型PC「STYLISTIC Q550シリーズ」を発表。Windows 7をOSに採用したタブレット型パソコンで、10.1インチの液晶を搭載する(新作Androidタブレットがドコモ、KDDI、日本通信から続々、法人向けWindowsタブレット端末も富士通が発表)。
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国内でもAndroid端末の普及が進み、前述のように魅力的な新製品の投入で一層の浸透が予想される。そんな中、とうとう日本語版のAndroidアプリでもマルウエアが発見されたとシマンテックが公表した。これまでも英語版などのアプリではマルウエアは多く見つかっているが、日本語版のアプリからマルウエアが発見されるのは今回が初めてという。公表時点では日本での感染報告はまだない。
マルウエアの感染が見つかったのは、「いっしょにとれーにんぐ for Android」というアプリ。Androidマーケットでは正規版が525円で販売されており、こちらには問題はない。一方、同アプリは第三者のアプリ配布サイトで無料で提供されており、こちらにマルウエアが混入していた。シマンテックでは保護の手段として、Androidマーケット以外からのアプリのインストールを拒否することを第一に挙げている(日本語版のAndroidアプリにもマルウエア発見、海賊版への注意を呼びかけ)。
スマートフォンの急速な普及で、おサイフケータイを使った各種のサービスが使えない人が増えてしまった。そんな状況に対応すべく、ビー・ユー・ジー(以下BUG)は、おサイフケータイ非対応のスマートフォンでもタッチ操作によるモバイルマーケティングを可能にする新技術を開発した。
「スマート・サウンド・タッチ」(SST)と呼ぶ技術で、専用アプリを導入したスマートフォンをSST対応のリーダーにタッチすると、各種パラメーターを含んだ情報を音声に乗せて通知する。専用アプリは、この音声を検知してパラメーター情報を読み出す仕組みだ。対応するスマートフォンは、iOS 3.1以上を搭載したiPhone、またはAndroid 2.1以上を搭載したAndroid端末(FeliCa非搭載のスマートフォンでもタッチによるサービスを実現、BUGが開発)。
KDDIは、au携帯電話の通話品質を向上させる「EVRC-B」技術を2月25日に導入した。従来のau携帯電話で使っていた「EVRC」に比べて、同等の伝送レートで約1.4倍に相当する音声情報を伝送できる技術。電話の基本性能である音声通話の品質を高めれる(KDDI、au携帯電話の通話品質を高める技術を2月25日に導入)。
将来に向けての前進もあった。NHKとNTTが、世界で初めて共用タイプのグローバルIPネットワークを介したスーパーハイビジョンの国際間ライブ中継に成功したこと。ライブ中継は東京-ロンドン間で2月18日に実施された。ハイビジョンの16倍の画素を持つスーパーハイビジョンを、共用タイプのIPネットを使って伝送できるようになれば、低コストでのライブ中継などが実現する(NHKとNTT、スーパーハイビジョンの国際ライブ中継を共用IPネットで世界初成功)。
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NTTドコモは2月21日、大規模災害が発生したときに安否メッセージの登録ができる「災害用伝言板」をスマートフォンにも対応させると発表した。スマートフォン用のISPサービス「spモード」で災害用伝言板を使えるような開発を行い、3月下旬からメッセージ登録が可能になる(NTTドコモ、「災害用伝言板」をスマートフォンにも拡張へ)。
翌2月22日、ニュージーランドで大地震が発生。ソフトバンクモバイルとKDDIは、地震などに対する支援措置を相次いで発表した。まずソフトバンクモバイルはソフトバンクの携帯電話でニュージーランドから送信するSMSと、同じく同社の携帯電話で日本からニュージーランドへ送信するSMSを無料にする。このほか、特設サイトでのコンテンツ売上金額を寄付するプロジェクトも始めた。
KDDIもニュージーランド地震の被災地支援のため、義援金を寄付すると発表した。「オリジナルケータイ用壁紙」などを提供し、売上全額を被災地支援団体などに寄付する(ニュージーランド地震の被災地などに、ソフトバンクとKDDIが支援措置)。
新たなサービスの提供への道筋を付けた発表もあった。健康情報の提供に向けた取り組みで、健康気象サービスを手がけるいであとNTTドコモはが環境センサーネットワークを活用した健康気象に関するサービス提供などに関して業務提携した。NTTドコモは環境センサーネットワークによる環境観測情報と、携帯電話の位置情報をいであに提供する。いであでは、この情報を基にして健康予報サービスのノウハウを活用してサービスを提供する(NTTドコモといであ、環境センサーネットを活用して「健康気象サービス」の提供へ)。
海外でのデータ通信利用の利便性を高めるサービスがKDDIからも登場する。海外パケット定額サービス「海外ダブル定額」を3月1日に始める。1日当たりの定額料は、1980円と2980円の2段階制となる。ソフトバンクモバイルは「海外パケットし放題」、NTTドコモは「海外パケ・ホーダイ」の名称でそれぞれ提供済みで、KDDIもようやく足並みを揃えたことになる(KDDI、最大日額2980円の海外パケット定額を3月1日に提供開始)。
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