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ケータイSMSとクラウドソーシングで「断水」問題を緩和 - NextDropの取り組み

2011.07.01

Updated by WirelessWire News編集部 on July 1, 2011, 18:30 pm JST

慢性的な断水に悩まされるインドのある街で、携帯電話をつかった興味深い取り組みが進められている。

NextDrop
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カリフォルニア大学バークレー校(以下、UCバークレー)の学生らが立ち上げた「NextDrop」というこのプロジェクトでは、「給水待ち」で多くの時間を取られている人ーー大半は女性を開放するために、携帯電話(フィーチャーフォン)のSMSを使って住人に給水予定時刻を知らせるほか、住人から集めた給水状況の情報をグーグルマップ上に表示させて、水道会社の管理にも役立てるというシステムを開発した。

このシステムでは、まず各地域の水道管の元栓(バルブ)を開閉してまわる水道会社の担当者(「バルブマン」)が、給水開始の30〜60前にNextDropの双方向音声応答システムに電話をかけ、それぞれの地域での開始時刻を伝える。この情報を受け取ったNextDropのシステムは、これをSMSに返還して住人の携帯電話に送信、同時に給水(予定)情報をグーグルマップ上に表示し、水道会社の管理者がリアルタイムで状況を把握できるようにする。さらにこのシステムでは、無作為に選んだ住人にSMSを送り、バルブマンが申告した情報通りに給水されているかどうかを検証するという。

この情報が受け取るようになったことで、住人はいつ始まるかわからず、また始まっても一日に数時間程度しか続かない給水を待つ必要がなくなったという。

インドのハブリという街で一年ほど前から実施されているこのプロジェクト、もともとはUBバークレーの授業で2年ほど前に実施されたコンテストのために考えられたアイデアで、今年2月にはバルセロナで開催されたMobile World Congress(MWC)の「GSMA mWomen BOP (Base of the Pyramid) Apps Challenge」というコンテストで大賞に選ばれ、この6月には米Knight Foundationが主催の「Knight News Challenge」でも受賞者に選ばれ、副賞として37万5000ドルの運営資金を獲得している。

NextDropでは、今後の目標として、来年3月までに対象を1000世帯に拡げ、さらに2013年7月までにはハブリの街全体(人口は約100万人)にこのサービスを拡げたい考え。また同プロジェトでは将来的に有料でのサービス提供も視野に入れながらこのプロジェクトを進めていくという。

世界には、水道インフラの不在から飲み水の確保さえままならない人が現在約10億人もいるとされ、これにNextDropが取り組んでいるような「インフラはあるにはあるけれど、運用のほうが安定しない」というケースを加えれば、さらに多くの人間が水の問題に頭を悩ませていることになる。

先進国並みのインフラが導入され、人手を介したSMSのやりとりがセンサーによるデータの自動送受信に置き換わるとき、NextDropの取り組みはめでたく「お役ご免」となるはずだが、しかしそうした未来の実現には(できると仮定しても)どうしても時間がかかる。さらに、根本的な解決には難しいにしても、手持ちの材料を組み合わせて、そこから派生する個々の悩みや不都合を緩和するだけで、無駄に費やされていたリソース--NextDropの場合でいえば、給水待ちという家事に縛り付けられていた人たちの時間を、もっと有意義な目的に振り向けることが可能になる。大きなスケールで新しい価値を生み出すきっかけが、まだ至るところに眠っているのかもしれない。

【参照情報】
NextDrop
How NextDrop Is Using Cell Phones, Crowdsourcing To Get Water To The Thirsty - Fast Company
NextDrop: A Simple Idea That's So Damn Powerful [Piped Water Delivery Alerts Over SMS] - Pluggdin
GSMA mWomen BOP Apps Challenge Winners Announced - GSMA

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