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[2011年第34週]市場のスマホシフトが鮮明に、セキュリティ製品相次ぐ、Windows Phone発売

2011.08.29

Updated by Naohisa Iwamoto on August 29, 2011, 11:00 am JST

8月も下旬にさしかかり、夏休み気分も少し抜けてきたこの週。海外からはアップルのスティーブ・ジョブズ氏がCEOを辞任するという衝撃のニュースが飛び込んできた。そのジョブズ氏が仕掛けたスマートフォンへのシフトは、国内でもしっかりとした足取りで進んでいるようだ。

販売の半数はスマートフォンに

ジーエフケー マーケティングサービス ジャパン(GfK)は、2011年7月の携帯電話販売動向についてのレポートで、スマートフォンが販売の約半数を占めるにまで成長したと発表した。7月の携帯電話販売状況は、数量で前年比15%の増加と好調に推移。前年比15%の成長は、2008年の割賦販売制度導入から後では最大の伸びだという。その中でもスマートフォンの販売数量比率は7月に49%に達し、ほぼ半数にまで拡大した(関連記事:7月の携帯電話販売、約半数がスマートフォンに--GfK調べ)。

201108291100-1.jpgこれに近いデータとして、量販店の実売データを集計した「BCNランキング」の数値もある。SIMフリー端末を含む携帯電話全体の6月の週次集計では、6月第3週(6月20日〜26日)に過去最大の64.5%を記録。その後も6割前後で推移しており、新規に販売された携帯電話のおよそ6割がスマートフォンになりつつあるというのだ(関連記事:スマートフォン比率、東京圏では携帯電話全体の6割を超える)。

2008年7月のiPhone国内発売から3年、スマートフォンはiPhoneとAndroidを両軸にして急速にその地位を固めた。ただし、これだけ"流行りもの"になった今でも、まだ購入者の半数は従来型の携帯電話を選んでいることも忘れてはいけないだろう。スマートフォンはまだ万人に受け入れられる万能端末ではないことの表れと考えられる。

ウィルコムは、オプションサービス「だれとでも定額」の契約数が100万を突破したことを発表した。2010年12月にサービスを開始し、9カ月弱で100万契約の大台に乗せた。だれとでも定額は、基本料金に加えて月額980円のオプション料金を支払うことで、10分以内の通話が月間500回まで無料になる(関連記事:ウィルコムの「だれとでも定額」、100万契約を突破)。スマートフォンの先進キャリアーだったウィルコムが、今ではスマートフォンなしでもユーザーに受け入れられる可能性があることを示している。

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進むスマートフォンのセキュリティ対策

201108291100-2.jpgセキュリティ対策ソフトの大手ベンダーから、Android端末とiPhoneに向けたサービスが発表された。トレンドマイクロは、Android端末で利用できるセキュリティアプリ「ウイルスバスター モバイル for Android」の提供を開始した。盗難紛失対策、不正アプリ対策、Web脅威対策などの機能を備える。価格はオープンだが、トレンドマイクロ・オンラインショップでは単体の「ウイルスバスター モバイル for Android」が2980円となる(関連記事:トレンドマイクロ、Android版の「ウイルスバスター」を発売)。

一方、マカフィーは、iPhone上のデータを保護する個人向けのセキュリティサービスを開始したと発表した。iPhoneのセキュリティ上の脅威となるデバイスの紛失と盗難に対応する機能を提供する「McAfee WaveSecure iOS版」で、App Storeにて提供を始めた。料金は1ライセンス1700円で、1年間の利用が可能。7日間の無料トライアルを実施している。マカフィーはAndroidなどに向けたサービスを提供していたが、iPhone向けのサービスは初めてのこととなる(関連記事:マカフィー、iPhone向けのセキュリティサービスを開始)。

Windows Phoneがついに発売

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ハードウエアとしては、KDDIがマイクロソフトのWindows PhoneをOSに採用したスマートフォン「IS12T」を8月25日から順次販売を始めた。KDDIでは7月27日にIS12Tを発表し、その際には9月以降の発売を予定しているとしていた。当初予定よりわずかではあるが前倒して8月中に発売することが決まった。店頭では新規、機種変更ともに7万3500円といった価格が付けられ、ここから「毎月割」の割引分が差し引かれる(関連記事:KDDIのWindows Phone「IS12T」、発表当初より前倒しで8月25日に発売)。

Android端末では、NECが企業内の業務利用に適するようにセキュリティ機能を強化したモデルを2機種発表している。キーボード付きの「LifeTouch NOTEビジネス向けモデル」と、タブレット型の「LifeTouchセキュリティパックモデル」の2機種で、8月26日から出荷を始める。端末の情報漏えいや不正利用の防止、企業内ネットワークへの安全な接続などを実現するNEC独自の機能を搭載した(関連記事:NEC、ビジネスユースに向けてセキュリティを強化したAndroid端末を2機種)。

モバイルとは言えないのだが、新しい潮流になりそうな"端末"の発表もあった。シャープは、ディスプレイ部とチューナー部を無線でつなぐことで置き場所の自由度を高めた、液晶テレビ「フリースタイル AQUOS」の4機種8モデルを発表した。20V型から60V型までを用意し、9月15日から順次発売する。フリースタイル AQUOSの最大の特徴は、テレビをディスプレイ部とチューナー部に分離し、その間を無線(IEEE802.11n/a)で結ぶこと。これにより、アンテナ端子の位置などの制約を受けずにディスプレイを自由に配置できるようになる。有線LANのケーブルをチューナー部に挿してインターネットにつなぐことで、シャープ独自のネットサービス「AQUOS City」やインターネットの各種コンテンツなどを利用できる(関連記事:新型AQUOSはディスプレイをワイヤレスで接続、ネットコンテンツにも対応)。

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国際SMS開始などキャリアーがサービス拡充

201108291100-4.jpg通信事業者の動きもいくつかあった。イー・モバイルのブランドで携帯電話サービスを提供するイー・アクセスは、国際ショートメッセージサービス(国際SMS)の提供を始めた。サービス開始時点では、74の国と地域における223の海外通信事業者の携帯電話機との間で、電話番号だけでメッセージの送受信ができる(関連記事:イー・モバイル、8月24日から国際SMSサービス提供開始)。

NTTドコモでは、災害時に安否の確認に役立ててもらうための「災害用伝言板」を、体験できるサービスを実施している。10月1日まで体験サービスを利用できる。9月1日の防災の日をきっかけに、改めて家族や身近な知人などと利用方法を確認しておくとよいだろう。ただし、実際に災害が発生した際には体験利用ができない場合がある(関連記事:NTTドコモ、防災週間に向けて災害用伝言板体験サービスを実施中)。

大震災の長引く影響による電力不足に対応し、KDDIはデジタルフォトフレームに東京電力管内の電力使用状況を配信して表示するコンテンツの提供を始めた。コンテンツは無償で専用のコンテンツ配信サイト「カスタモ for PHOTO-U」からダウンロードできる。対象となるのはデジタルフォトフレーム「PHOTO-U SP01」。情報料は無料である(関連記事:KDDI、デジタルフォトフレームに電力使用状況を配信)。

未来を少し先取り

201108291100-5.jpg半歩先を見据えたニュースもあった。1つは独立行政法人情報通信研究機構(NICT)が無線伝送で世界最高記録を達成した話題だ。NICTは大阪大学と共同で40Gbpsの無線伝送実験に成功した。これは従来の27Gbpsの記録を大きく上回り、電波による伝送実験の世界最高速記録となる。今回の実験では、光の広帯域性を利用してミリ波高速信号発生を実現し、さらに光ファイバ通信向けの複雑な信号発生技術を無線技術に適用することで、伝送速度の高速化に必要な「信号の高速性」と「高精度性」を両立したという(関連記事:NICTと大阪大学、40Gbpsのミリ波無線伝送実験に成功)。

もう1つはE-モビリティに関連した話題。日立コンシューマ・マーケティングは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向けの充電スタンド「エネタス」を11月に発売する。公共の場で利用できる「スタンダードタイプ」と、家庭や個人事業主などでの利用を想定した「スリムタイプ」を用意する。いずれも国内の主要なEV、PHVに対応しているという。スタンダードタイプの上位機種は、有線LAN経由で利用履歴や充電量の管理が可能である(関連記事:日立、電気自動車やプラグインハイブリッド車向けの充電スタンドを発売)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。