アップル、スティーブ・ジョブズ氏のCEO退任を発表 - 後任はティム・クックCOOに
2011.08.25
Updated by WirelessWire News編集部 on August 25, 2011, 09:00 am JST
2011.08.25
Updated by WirelessWire News編集部 on August 25, 2011, 09:00 am JST
アップル(Apple)は米国時間24日、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏が同社のCEOを退任し、後任として現在COOをつとめるティム・クック(Tim Cook)を任命すると発表した。ジョブズ氏は今後、同社取締役会の会長職に就くという。
[出典:WSJ日本版]
今年1月に3度目の病気療養を発表したジョブズ氏だったが、その後も自宅から経営についての指示を与えるなど同社の意志決定に深く関わっているとされ、また3月のiPad発表や6月のWWDCなどでは発表のステージに上がるなど、人前にも姿を見せていた。今回の発表についても、アップルのウェブサイトに掲載されたプレスリリースには、同氏の功績をたたえるアーサー・レビンソン(Arther Levions)社外取締役のコメントや、ジョブズ氏の強い推薦でクック氏のCEO昇格が決まったことなどのついての簡単な説明があるだけで、「なぜこのタイミングでの発表となったのか」等の点については触れられていない。なお、同社ウェブサイトに発表文とは別に下記のジョブズ氏からのメッセージが掲載されている。
アップルでは過去に、絶大なカリスマ性をもつジョブズ氏の健康状態を懸念した機関投資家など一部の株主から、同CEOの後継者選びについてのプロセスの透明化を求める声が上がったこともあった。ただし、クック氏が3度にわたるCEO代行の経験を通じて、堅実な経営手腕の持ち主であることをすでに証明済みであることや、iOS部門責任者のスコット・フォーストル(Scott Forstall))氏、アップルの全製品のデザインを統括するジョナサン・アイブ(Jonathan Ive)氏など若手の上級幹部らが揃っていることなどもあり、こうした要求の声が高まることは結局無かった。
Bloombergによると、アップルの今回の発表を受けて、同社株価は時間外の取引で一時7%セントほど下落したが、これについてもBusinessInsiderブログを主催するヘンリー・ブロジェット(Henry Blodget)氏は「5%程度の株価下落はほとんど取るに足りないもの。もしこんなことが2年前に起こっていたら、おそらく25%は下がっていただろう。ジョブズ氏のCEO退任はすでに株価に織り込まれていた」とTwitterでコメントしている。ブロジェット氏は、かつてウォールストリートの大手投資銀行でアナリストとして活躍していた経験をもつ人物として知られる。
WSJでは、情報筋の話として、ジョブス氏が現在もアップルの製品戦略(の決定と実行)に積極的に関わっており、クック氏にCEOの座を譲った後も、その点はあまり変わらないだろうとの見方を記している。いっぽう、クック氏の今後については「たとえジョブズ氏がいなくとも、アップルが成功を収められることを証明しなくてはならず、これはたいへんなチャレンジになるだろう」との見方を述べている。
パーソナルコンピュータの黎明期(1970年代後半)にスティーブ・ウォズニアック(Wozniak)氏と共に立ち上げたアップルを短期間で成功に導き、若くして「カリスマ起業家」「スターCEOの走り的存在」となったジョブズ氏だが、85年には他の幹部らとの意見の食い違いなどから同社を離れ、その後約12年間にわたって自ら立ち上げたネクストコンピュータ(NeXT Computer)などで苦労を重ねた。そして、96年末に当時「瀕死の状態」にあったアップルに復帰した後は、「宿敵」マイクロソフト(Microsoft)からの出資、オリジナルiMacの投入、Mac OS Xの開発と移行、iPodのヒット、iTunesを通じたオンライン音楽流通の実現、MacへのIntelチップ採用など、一部で「離れ業」とも称されるさまざまな施策を打ち出し、その多くを成功させてきた。また、とくに2007年夏にiPhoneを投入し、今日に至るスマートフォン普及の流れを作り出してからは、同社の業績が急激に上向いたことも手伝って、以前からの「ビジョナリー」としての評価に加え、Fortune誌で2009年11月に「この10年間でもっとも傑出した経営者」("Business Person of The Decade")に選ばれるなど、企業経営者としての評価も多いに高まった。
さらに、シリコンバレーの若手起業家への影響力も強く、たとえばグーグル(Google)の共同創業者 -- ラリー・ペイジ(Larry Page)氏とサーゲイ・ブリン(Sergey Brin)氏が同社立ち上げから間もないころに、出資者のVCから「実績のある経営者をCEOとして迎え入れる」よう求められた際に、候補として真っ先にあげたのがジョブズ氏だったという話は有名。さらに最近では、Twitterの発案者・共同創業者であり、モバイル決済関連のベンチャー、スクウェア(Square)の創業者兼CEOと注目を集めるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏も、ジョブズ氏の影響を強く受けた人物として知られている。
August 24, 2011
Letter from Steve Jobs
To the Apple Board of Directors and the Apple Community:
I have always said if there ever came a day when I could no longer meet my duties and expectations as Apple's CEO, I would be the first to let you know. Unfortunately, that day has come.
I hereby resign as CEO of Apple. I would like to serve, if the Board sees fit, as Chairman of the Board, director and Apple employee.
As far as my successor goes, I strongly recommend that we execute our succession plan and name Tim Cook as CEO of Apple.
I believe Apple's brightest and most innovative days are ahead of it. And I look forward to watching and contributing to its success in a new role.
I have made some of the best friends of my life at Apple, and I thank you all for the many years of being able to work alongside you.
Steve
(2005年6月のスタンフォード大学卒業式典でのスピーチ)
(ジョブズ氏アップル復帰時から現在までの同社株価推移)
【参照情報】
・Letter from Steve Jobs - Apple
・Steve Jobs Resigns as CEO of Apple - Apple
・Steve Jobs Resigns as Apple CEO - WSJ.com
・Steve Jobs resigns from Apple, Cook becomes CEO - Reuters
・Steve Jobs Resigns as Apple CEO -
・アップル、「iPad 2」を発表 - スティーブ・ジョブズCEOが登壇
・アップルのスティーブ・ジョブズ氏、再び病気療養へ - 復帰時期は不明
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