政争の具と化すライトスクウェアードの4G網計画 - 民主党政権、FCCへの攻撃材料に
2011.09.20
Updated by WirelessWire News編集部 on September 20, 2011, 13:27 pm JST
2011.09.20
Updated by WirelessWire News編集部 on September 20, 2011, 13:27 pm JST
米モバイルネットワーク関連ベンチャーのライトスクェアード(LightSquared)の動きについては、本サイトでも何度かお伝えしてきている通りだが、これまで出ていた資金面や技術面の問題に加えて、新たに政治関連の軋轢が表面化してきているようだ。
米国時間15日の話になるが、米政界関係者(いわゆる「ベルトウェイのインサイダー」)向けにニュースサイトを運営し、昨年11月にはNewsweek誌と合併したことでも知られるThe Daily Beastが、ライトスクェアードの計画する4Gネットワークの衛星利用部分で懸念されているGPS波への干渉問題を採り上げた。この話によると、米空軍のウィリアム・シェルトン(Gen. William Shelton)将軍という高官がこのGPS干渉問題について行った議会での証言に際し、その予定が事前にライトスクウェアード側に漏れ、さらに同将軍に対してホワイトハウスから証言の内容を変更するよう要請があったという。
ホワイトハウスからの要請については、具体的には2つの点 -- ブロードバンドの普及拡大を推し進める米政府の方針を支持すること、ならびに米国防総省がライトスクウェアードのGPS干渉問題のテストをわずか90日間で完了し、この問題の解決策を提示できるように努力することを証言内容に付け加えるように求められたという。
オバマ政権と対立する共和党側では、このホワイトハウスの動きに対し、ライトスクウェアードの大株主であるハービンガー・キャピタル・パートナーズ(Harbinger Capital Partners)のフィリップ・ファルコーネ(Philip Falcone)氏が民主党の大口献金者であることから、一種の便宜供与にあたるのではないかとの疑問を呈しているという。
いっぽうこの話題を採り上げたGigaOMでは、政治献金の話の真偽は別にして、モバイル・ブロードバンドの普及や同市場での競争活性化を目指す現政権とFCCが、そのための手段としてライトスクウェアードに対して対応端末の仕様などの点で度重なる譲歩をしているのは事実と述べている。
この記事をまとめたステイシー・ヒギンボサム(Stacey Higginbotham)記者は、自身ではライトスクウェアードの計画の実現可能性に懐疑的とした上で、周波数帯割当(免許交付)にともなう難しさなどに言及。「ライトスクウェアードへの免許交付は2004年にブッシュ政権が行ったものだったが、いまになってGPSの干渉問題が取り沙汰されている」と述べたほか、GPS波への干渉自体は関連業界がこれまで十分な対策を講じてこなかった結果であるにも関わらず、同業界関係者はすでに無数のGPS端末が出回っていることにあぐらをかいて、ライトスクウェアード側にこれに合わせるよう求めているとの見方を披露。さらに、政界への影響力という点では、ライトスクウェアードとの競合も予想される既存の携帯携帯事業者 - なかでもAT&Tやベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)が大量の資金を投じてロビー活動を展開していることでも知られているなどの点に触れた上で、共和・民主両党に対し、スケープゴート探しを止めて、代わりに周波数帯域の逼迫やさらなるブロードバンド市場の競争活性化という本当の問題について、その解決に取り組むよう求めている。
【参照情報】
・White House Pressure for a Donor? - Daily Beast
・When politics and tech collide, everyone loses - GigaOM
・ライトスクェアード、スプリントとの提携を正式発表 - 15年契約、総額は135億ドルに
・ライトスクェアード、利用する周波数帯域を変更へ - GPSへの干渉回避にむけて
・ライトスクェアード、スプリントと共同でLTE網展開へ - ひとまず危機を回避(Bloomberg報道)
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