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グーグル対オラクルのJava特許訴訟、トップ同士の「手打ち」はならず

2011.09.22

Updated by WirelessWire News編集部 on September 22, 2011, 09:48 am JST

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(cc) Image by Port of San Diego

オラクル(Oracle)とグーグル(Google)との間で争われている、Java関連技術のAndroidへの使用に関する訴訟は、法廷の要請を受けて、今週から両社の経営トップも交えての和解への道を探る動きが始まっているが、巨額の支払金が絡むと想定されるだけに簡単にはことは運んでいないようだ。

ReutersやBloomberg Businessweekなどが伝えたところによると、米国時間21日にはカリフォルニア州サンノゼの法廷で審理が行われたが、10時間にわたって続いたこの日の審問のなかでは、裁判所側の要請に応じてオラクルのラリー・エリソン(Larry Ellison)CEO、グーグルのラリー・ペイジ(Larry Page)CEOが顔を見せる場面もあったという。

オラクルは2010年8月に、同社が権利を保有するJava関連の特許がAndroidで勝手に使用されているとし、同モバイルOSを開発するグーグルを訴えていた。この裁判では、オラクルがグーグルに対して損害賠償の支払いに加え、特許侵害がみとめられたすべての製品の破壊も求めているという。

今年に入って、オラクル側からは最大61億ドルの賠償を求める主張も出されていたが、いっぽうでグーグル側からは被害額を1億ドルとする主張もなされルなど、両社の見解に大きな開きがあり、7月にはサンフランシスコの連邦地裁がオラクルの主張を拒否、同時に損害額の推定を見直す機会をあたえていた。

この日の審理では、グーグル側の弁護士が、オラクル側が用意した損害鑑定の専門家であるアイアン・コックバーン(Iain Cockburn)氏が9月12日に提出した20億ドル以上という損害額の見積もりについて、計算の根拠が示されていないとしてこれを批判。グーグル側は今後法廷に対してコックバーン氏のこの見積もりを証拠として取り扱わないように求める予定だという。

サンフランシスコ地裁では、ウィリアム・アルサップ(William Alsup)判事が7月にオラクル側の主張を却下した際、やはりコックバーン氏が作成していた見積もりについて、より具体的な見積もりを作成し直す必要性を指摘するとともに、場合によっては証拠から完全に取り除く可能性を示唆していた。

Bloombergでは、両社の裁判について、グーグルにとってはAndroid端末メーカー各社を世界各地の法廷で攻撃するアップル(Apple)の動き以上に脅威を含むものと記し、両社間で和解が成立するとすれば、グーグルがオラクルに支払うライセンス料は端末1台あたり最高で15ドルにもなる可能性があるとするシティグループ(Citigroup)アナリストの推定を紹介。

これと同様に、FOSS Patentsでも、この裁判について採り上げた記事のなかで、グーグル側が法廷の調停による和解に応じず、裁判で敗れた結果最終的にオラクルにロイヤリティ(ライセンス料)を支払うことになった場合、グーグルからの支払額は毎年10ドル単位にも達するため、数年間でモトローラ(Motorola Mobility)買収に投じる125億ドルも上回る可能性があるとしているが、ただしこの「最悪のシナリオ」が現実になる可能性はかなり低いとしている。

【参照情報】
Google spurns Oracle $2.2 billion Android damage claim - Reuters
Google, Oracle CEOs Said to Make Little Headway in Patent Talks - Businessweek
Without settlement, Google might pay more for Java license from Oracle than for Motorola Mobility - FOSS Patents
グーグル、特許紛争関連でマイクロソフト、オラクル、アップルを名指しで批判 - Android防衛で「徹底抗戦」
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最大で61億ドルにも - オラクル、AndroidによるJava特許侵害の被害額を算出

オラクルの勝訴がAndroidの失速につながる可能性があるとする複数メディアの目測に関する記事はこちら

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