ノキア シーメンス、親会社2社が10億ユーロの資金注入へ - 新会長任命も発表
2011.09.30
Updated by WirelessWire News編集部 on September 30, 2011, 17:19 pm JST
2011.09.30
Updated by WirelessWire News編集部 on September 30, 2011, 17:19 pm JST
ノキア シーメンス ネットワークス(Nokia Siemens Networks:以下、NSN)は欧州時間29日、同社の株式を50%ずつ保有するノキア(Nokia)およびシーメンス(Siemens)の両社がそれぞれ5億ユーロを提供すると発表。併せてデンマークの通信企業TDCでCFOを務めた経験もあるイェスパー・オヴェセン(Jesper Ovesen)氏を新たな会長に任命したことも明らかにした。
NSNは2007年にノキアとシーメンスが立ち上げたジョイントベンチャー(JV)。親会社側の状況変化や方針転換などもあり、ここ1年ほどはPEファンドなどの外部投資家との間で、同社への出資交渉などを続けていたが、結局これらの交渉が不調に終わったことから、経営に関する新たな選択肢を模索しているとされていた。
Financial Timesによると、ノキアおよびシーメンスでは今回の資金提供に関し、NSNの財務面をさらに強化し、戦略に関する柔軟性、生産性、それにモバイルブロードバンドや関連するサービスといった分野での技術革新を促進するため、としているという。
NSNは通信機器関連業界で、スウェーデンのエリクソン(Ericsson)に次ぐ第2位のベンダーだが、ファーウェイ(Huawei Technology)の台頭などもあり、経営的には苦戦が続いている。
いっぽう、会長職の交代については、昨年までノキアのCEOを務めた後、NSNの会長職についていたオリ・ペッカ・カラスヴオ(Olli-Pekka Kallasvuo)氏に代わり、オヴェセン氏が新たに代表権を持つ会長に就任する。
FTでは、デンマーク国外ではあまりよく知られていない同氏の任命について、アナリストらの間からは「期待が持てる」("promising")人選とする声が上がっているとし、その一例として「(オヴェセン氏は)賢い選択だ。彼にはNSNの会長職をこなすための適切なスキルセットがある」という通信業界コンサルタント、ジョン・ストランド(John Strand)氏のコメントを紹介している。
オヴェセン氏はダンスクバンク(Danske Bank)、レゴ(Lego)、TDCなどデンマークの優良企業各社で財務責任者(CFO)を務めた経歴の持ち主だが、財務のほか技術関連分野にも通じているという。
前述のジョン・ストランド氏は、FTに対し、通信インフラの構築に際し資金の融資などまで一括して提供することで市場シェアをのばしてきたファーウェイなどにNSNが対抗していく上で、財務分野に明るいオヴェセン氏の存在が大きな力になると述べている。
なお、ノキアの広報担当を務めるジェームス・エスリッジ(James Etheridge)氏はDow Jonesの取材に対し、NSNが将来的に株式公開を行う可能性もあるとした上で、ただし経営陣の直近の優先課題は同社の競争力ならびに収益力の改善、と答えている。
また、エヴリ・バンク(Evli Bank)のアナリスト、ミコ・エルヴァスティ氏は、「株式公開という選択肢はNSNが検討する必要のある事柄」とし、「IPOに際して必要とされる適切な経験と人脈をもつ人物がNSNの取締役会に加わった」とDow Joneにコメントしている。
いっぽう、スウェドバンク(Swedbank)のハカン・ウラネ(Hakan Wranne)氏は、NSNの株式公開はあり得るものの、実施までには時間がかかりそうとの見方を示し、まずは同社のキャッシュフローが改善する必要があると付け加えている。
【参照情報】
・Nokia and Siemens invest €1bn in joint venture - FT.com
・Nokia, Siemens To Inject EUR1 Billion Into Nokia Siemens Networks - WSJ.com
・UPDATE: Nokia Says IPO Is Option For Nokia Siemens Networks - Dow Jones (WSJ.com)
・Executive Chairman appointed at Nokia Siemens Networks; Nokia and Siemens to each provide new capital of EUR 500 million - Nokia Siemens Networks
・不透明感増すノキア シーメンスの先行き - 「株式売却交渉が不成立」との報道も
・NSNへファンド会社から出資の打診 - ノキアとシーメンス、検討に前向き
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