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iPhone 3000万台超購入を確約 - スプリントが200億ドルを賭けた一発逆転の大勝負(WSJ報道)

2011.10.04

Updated by WirelessWire News編集部 on October 4, 2011, 07:28 am JST

iPad 2発表以降、半年以上にわたってさまざまな可能性が噂になってきた新型iPhone。搭載される部品やソフトウェア、対応キャリアなどすでに多くの事柄が語られ、話のネタもほぼ出尽くしたと思った矢先、発表本番を翌日に控えた米国時間3日に、Wall Street Journal(WSJ)がかなりインパクトの大きな話を伝えている。

"Sprint to 'Bet the Company' on iPhone"と題されたこの記事によると、米市場3位の携帯通信事業者であるスプリント・ネクステル(Sprint Nextel:以下、スプリント)はアップル(Apple)に対し、2014年までの4年間で合計3050万台〜3200万台、金額にして200億ドル($20 billion)以上にもなるiPhoneの購入を確約したという。

Sprint
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iPhoneは現在、アップルから携帯通信事業者への卸値が平均655ドルで、スプリントではこの取引の結果、加入者(同社からのiPhone購入者)1人に対して500ドル近い差額負担を強いられることになるため、この取引からの利益回収には相当長い期間が必要と見込まれる。そのため、同社のダン・ハッセ(Dan Hasse)CEOからこの取引について聞かされたスプリントの取締役会は、当初承認に躊躇したという。しかし、現在加入者数が約5200万人と上位2社--ベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)およびAT&Tにくらべてほぼ半数程度の規模で劣勢に立たされているスプリントとしては、結局「この機会を見送ることは不可能」との判断を下し、ハッセCEOの提案にゴーサインを出したという。なお、WSJではこの案件がスプリント関係者の間で「Sony」プロジェクトと呼ばれていたなど具体的なところまで記している。

ベライゾンとAT&Tが今年前半に販売したiPhoneの台数は、両社の分をあわせても約1200万台ということで、そこからもスプリントに条件提示された台数がいかに大きなものであるかが伺われる。いっぽう、スプリントがiPhoneの取り扱いで成功すれば、同社は米国におけるiPhone販売台数の約3分の1を占める可能性もあるという。

上位2社が従量課金制へ移行するなかで、スプリントはユーザーにとって割安な定額性の料金プランを売りにしているが、iPhone販売に際してはこの使い放題の料金プランを主な訴求点にして差別化を図る可能性が高く、この「iPhone + 定額プラン」という組み合わせで、2006年以来続いている単年度赤字を食い止めたい考えで、オリジナルiPhoneが登場した2007年6月時点に比べて8割以上も下落している株価の上昇にもつなげたい考えだという。ただし、その負担も大きく、スプリントの営業利益はこの契約の結果、今後2年半で15億ドル程度減少するとするシナリオも想定されているとの関係者の話をWSJは紹介している。

なおこの話に関連して、BGRブログでは、アップルがスプリントに対し「iPhone 5」を一定期間独占的に取り扱うことを認め、しかもこのiPhone 5がWiMAX対応のものになるのではないかとの説を展開。同ブログは「非常にしっかりした情報元と何週間も前からやりとりしていたが、あまりにあり得ないと思え、記事にできずにいた話」と但し書きした上で、スプリントが先行してiPhone 5を取り扱い、ベライゾンとAT&Tはまず3G対応のiPhone 4Sを投入した上で、来年前半にLTE対応のiPhone 5を提供することになるといった可能性があると述べている。

【参照情報】
Sprint to 'Bet the Company' on iPhone - WSJ.com
Sprint scores iPhone 5 exclusive thanks to $20 billion deal with Apple? - BGR
Sprint reportedly paying high price for chance to sell iPhone - GigaOM
Sprint commits to $20B order for 30M iPhones, WSJ says - CNET
Report: Sprint buys 30.5 million Apple iPhones over four years - Fierce Wireless
WSJ: Sprint bets the farm, ponies up $20 billion to get the iPhone - 9to5 Mac
スプリント、来年前半にLTEネットワークのサービス開始へ(CNET報道)
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iPhone 5、米ではスプリントも取り扱いへ - 発売時期は10月半ばか(WSJ報道)

スプリントが4Gネットワークについての戦略や、iPhone 5に関する発表を行うと噂されているイベントについての記事はこちら

苦戦を強いられるスプリントの今後の出方に対し、関係者や一般加入者からの注目がさらに集まることになりそうだ。

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