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[Xi Watching Report #10]Xiの加入者計画に対する月次進捗確認、イー・モバイルのLTE計画に関する考察

2011.12.01

Updated by WirelessWire News編集部 on December 1, 2011, 20:30 pm JST

今月のXi Watching Reportは、引き続きXiの月次契約動向と会社計画に対する進捗状況を確認すると共に、先日イー・モバイルより公表されたLTE導入計画ついて考察したい。

LTE純増数 10月93,600件、月次純増を越えるXi純増数が意味する音声契約端末の実質純減

11月8日に公表されたXiの最新契約動向について月次進捗を確認する。10月のXi純増数は93,600件、累計加入者は48万2,200件となった。会社に期初計画が今年度純増100万であったので、7ヶ月経過し純増計画の50%程度の進捗。既に公表されている今冬から発売のタブレット型2機種、スマートフォン型4機種が順次発売されることも考慮すれば、残り5ヶ月間、現在のXi純増10万/月のペースにこれら機種の上乗せ分が加味され、年間純増100万達成は間違いないし、100万を上回るペースと見て良いであろう。

ところで、10月のドコモ全体の純増は89,600件で、Xiの純増数を下回っている。説明の必要も無かろうが、10月はKDDI・ソフトバンクモバイル双方からiPhone4Sが発売され、MNP(携帯電話番号ポータビリティ制度)を用いて、ドコモから、KDDI・ソフトバンクモバイルの双方への流出が通常月より多かった事に起因したものなのだが、データカードやWi-Fiルータ、フォトフレームなどの音声通話機能非搭載端末を除いた実質的な携帯電話加入者はやや純減したという事を意味している。

実際、ドコモはMNPの転入(他社からドコモへ)から転出(ドコモから他社へ)を差し引いた数で、▲75,400件(9月は▲45,000件)と大幅に流出超過している。筆者の推計では、10月は、MNPでドコモからKDDI・SBMのそれぞれへ6万件〜7万件程度流出したようだ。暫くは、KDDI・ソフトバンクモバイルのiPhone4S効果により、Xiやデータカード系端末で純増を稼ぐ構図が続くかもしれない。

▼表1:ドコモXi契約者数推移 ※画像をクリックして拡大
201112012030-1.jpg(出所):会社資料、取材などから筆者作成

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基地局建設は引き続き高い進捗、当初の今年度計画を7ヶ月で達成

加入者獲得状況と合わせて、毎回確認しているLTE基地局の設置状況だが、10月末時点では4,800局超まで、基地局数を増やしている。当初今年度は5,000局計画であったのだが、7ヶ月目にほぼ達成。かなりのハイペースであり、前回「Xi Watching Report #9」で報告したとおり、今年度計画は7,000局へ修正されている。

▼表2:ドコモLTE基地局数推移 ※画像をクリックして拡大
201112012030-2.jpg(出所):ドコモLTE基地局については総務省無線局情報検索にて電波形式「5M00X7W」を集計し、会社資料を参考にしながら、筆者作成
(注):ドコモ公表値と総務省無線局情報検索との差分は、ドコモ公表値は基地局設置場所数であり、免許数ではない事に起因すると想定している

イー・モバイルのLTE導入計画についての考察

11月4日にイー・アクセス(サービスブランド名はイー・モバイル)が、LTEの導入計画を発表した。料金や対応端末などの詳細発表は無かったが、2012年3月にサービス開始に向け準備を開始しており、東京・神奈川・茨城の3都県で商用ネットワークでの試験運用も開始したとの事だ。

これで、概ね国内移動体4事業者のLTE導入の具体的計画が出揃い、いよいよ2012年はLTE本格普及元年となるのだが、イー・モバイルの現状の周波数割り当て状況などから、LTE導入計画を考察したい。

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▼表3:イー・モバイルの運用周波数の状況
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(出所)総務省

表3は、現在イー・モバイルに割当てられている周波数。上り1750MHz〜1765MHz・下り1845MHz〜1860MHzとなっており、上り・下りでそれぞれ15MHz幅ずつの割当となっている。今回のLTE導入計画は、このうち表3で示す未利用である、上り1750MHz〜1755MHz・下り1845MHz〜1850MHz、基本5MHz幅を用いて導入される予定だ。

▼表4:LTE端末カテゴリによるスループット理論値
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(出所)会社資料、取材などから筆者作成

表4は、LTEのU/E(User Equipment:端末)カテゴリと使用帯域幅に応じたスループットの理論値。今回、イー・モバイルは5MHz幅での利用を主軸としているため、現状ドコモが導入している「カテゴリ3」と同様の端末の導入であれば、スループットは下りで最大37.5Mbpsとなる。

ところが、イー・モバイルの公表によると、「下り最大75Mbps」となっているのだが、表4で示す「カテゴリ5」の端末導入であるのかと言えば、そうでは無い。現状、LTEのベースバンドチップセットで最も最先端を行く、Qualcommの開発ロードマップでもようやく2012年の後半に「カテゴリ4」対応のチップセットが商用化されるような状況なのである。では、どのように75Mbpsの下り速度を確保するのであろうか。

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実は、イー・モバイルは、一部エリアでは10MHz幅でLTEを導入する計画なのである。10MHz幅であれば、「カテゴリ3」でも表4の通り、75Mbpsのスループット理論値となる。では、一部エリアとはどこになるのか。

▼表5:イー・モバイルの基地局数
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(出所)総務省

表5は、10月末現在のイー・モバイルのDC-HSDPA対応基地局(10MHz幅で電波を出力している基地局)とHSPA基地局(5MHz幅で電波を出力している基地局)を北海道〜九州・沖縄まで総務省の地域総合通信局エリア毎に示したもの。関東エリアで概ね50%の基地局がDC-HSDPA対応、つまり10MHz幅の電波が既に利用されているのだ。

表3のイー・モバイルの周波数運用状況でも示したとおり、全く未利用の周波数帯は現在5MHz幅のみ。DC-HSDPA基地局を設置していない一部エリアでは、上り1755〜1760MHz・下り1850〜1855MHzの5MHz幅が未利用。この2つの5MHz幅を連続して利用する事で、10MHz幅のLTE向け帯域幅を確保し最大で75Mbpsの下り速度を確保する予定なのである。

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▼図1:イー・モバイルのLTE導入予定周波数
201112012030-6.jpg
(出所)総務省、会社資料などから筆者作成

これまでの内容を整理し、図1の通りLTEと3Gの周波数運用をまとめた。

LTEは図1で示す現在未利用(図内の白で示したボックス)の帯域5MHz幅で全国的に導入され、一部のDC-HSDPA未利用エリア(図内のグレーの千鳥格子状のボックス)では連続して10MHz幅で利用されるということなのである。

しかしながら、表5で示したとおり、人口が多く、比較的トラヒック量も多いと想定される、首都圏を含む関東では既に50%程度の基地局でDC-HSDPAに対応し、上述の5MHz幅は既に利用済み。LTEで連続した10MHz幅を利用できるエリアは、人口が少なく、トラヒック量も比較的少ないと想定される地域からとならざるを得ないのである。

DC-HSDPAには既存顧客がいる為、直ぐに全てのDC-HSDPA基地局を停波し、LTEへは移行できる状況では無い。その為、実質的には5MHz幅・理論速度37.5MbpsでLTEをスタートさせるしかない状況なのだ。KDDIが2012年12月にLTEを開始する前にイー・モバイルはLTEを開始するのだが、KDDIは「[Xi Watching Report #8]Xiの加入者計画に対する月次進捗確認/KDDIのLTE立ち上げ本気度」でも報告したとおり、800MHz帯・1.5GHz帯共に、10MHz幅・理論速度75Mbpsで開始する予定で、既に基地局建設も相当にハイペースで進んでいる。イー・モバイルが速度・カバレッジ共に、ドコモ・KDDIに劣後する可能性は非常に高く、低料金・完全定額という現在と同じ差別化戦略でのLTE開始となると筆者は見込んでいる。

 
文・梶本 浩平(金融機関にてアナリストとして通信セクターを担当)

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