[2012年第5週]Wi-Fiが地下鉄や高速SAに拡大、ドコモもDisney Mobile、ソフトバンク最高益
2012.02.06
Updated by Naohisa Iwamoto on February 6, 2012, 11:00 am JST
2012.02.06
Updated by Naohisa Iwamoto on February 6, 2012, 11:00 am JST
記録的な寒波と大雪に見舞われている2月の初旬。被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。モバイル関連のニュースでは、Wi-Fiの広がりと、キャリアーの各種の動きが目についた1週間だった。
スマートフォンへのシフトが進む中、Wi-Fiの通信インフラとしての役割が高まってきている。KDDIは横浜市営地下鉄の駅などへのサービス拡大を発表した。公衆無線LANサービス「au Wi-Fi SPOT」を地下鉄駅構内で提供するほか、市営バスでもau Wi-Fi SPOTの実証実験を行う。公共交通機関の中での通信をWi-Fiにオフロードする狙いが見て取れる。また、UQコミュニケーションズも同じく横浜市営地下鉄の駅および列車内でのエリア整備を進めることをアナウンスしている(関連記事:横浜市営地下鉄でau Wi-Fi SPOTとUQ WiMAXが利用可能に、市営バスのWi-Fi実証実験も)。
高速道路利用者に向けたWi-Fi環境整備を、ソフトバンクモバイルが進めている。NEXCO東日本およびNEXCO西日本が管理するすべてのサービスエリア(SA)とパーキングエリア(PA)に「ソフトバンクWi-Fiスポット」を展開するのだ。NEXCO東日本/西日本ともに2012年秋ごろまでに、すべてのSA・PAでソフトバンクWi-Fiスポットが利用できるようにする(関連記事:ソフトバンク、NEXCO東日本/西日本の全SA・PAを「ソフトバンクWi-Fiスポット」に)。
新しい動きとしては、トヨタ自動車とKDDIの発表に注目したい。EV/PHV向け充電スタンド「G-Station」にKDDIがWi-Fiアクセスポイントを設置し、「Gアクセスポイント ネットワーク」として展開する。スマートフォンなどのWi-Fi搭載端末を通じてインターネットの利用するほか、将来的にはトヨタ車に搭載したWi-Fi機器から情報を収集することで、より精度の高い交通情報の提供につなげる(報道発表資料:トヨタ、KDDI、Wi-Fiを活用した次世代テレマティクス向けアクセスネットワーク構築に向けた協業について合意)。
Wi-Fiによるエリア展開の一方で、NTTドコモはフェムトセル小型基地局を使った「マイエリア」サービスを2012年9月30日で終了すると発表した。2009年11月18日に提供を開始したばかりのサービスだが、3年足らずで終了することになった。ドコモは、事業環境の変化から経営資源を集中するためとしている(関連記事:ドコモ、フェムトセル利用の「マイエリア」サービスを終了)。
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第5週は、キャリアーの動きが各方面で活発な週だった。2月1日、NTTドコモとウォルト・ディズニー・ジャパンは、Disney Mobile on docomoを同日立ち上げることを発表した。ドコモは、2月下旬よりDisney Mobile on docomoブランドのスマートフォン「Disney Mobile on docomo F-08D」「Disney Mobile on docomo P-05D」を順次発売。ディズニーはDisney Mobile on docomo限定のサービスを提供する(関連記事:ドコモとディズニー、「Disney Mobile on docomo」ブランドのサービスを開始)。
同じく2月1日、亀田総合病院、亀田産業、NTT、NTT東日本、NTTドコモの5社は、在宅患者と離れた拠点の医師などを結び、診療や介護を行う"遠隔医療"の実証トライアル開始を発表した。亀田総合病院と介護サービス施設、調剤薬局及び患者宅をブロードバンドネットワークで結び、医療健康情報の自動登録やテレビ電話を利用した在宅医療を支援する遠隔医療の実現に向けた実証を行う(関連記事:亀田総合病院グループとNTTグループ、遠隔医療の共同実証実験を開始)。
KDDIは自治体と連携。品川区が区内の小学生向けに展開している独自の防犯システム「近隣セキュリティシステム」向けにKDDIが専用携帯電話約1万4000台を提供する。子ども向けのauケータイ「mamorino2」をベースとした専用携帯電話「まもるっち」で、「緊急地震速報」や「災害用伝言板」などの災害対策機能のほか、セコムによる夜間・休日対応などの安心機能も備える(報道発表資料:品川区独自の防犯システム「近隣セキュリティシステム」への専用携帯電話「まもるっち」の提供について)。
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スマートフォンを一層活用できるようにするためのアプリ開発に2つのニュースがあった。1つは新しいアプリなどの開発に向けたベンチャーファンドの設立、もう1つは既存のiモード向けアプリをスマホ向けに転用する技術だ。
KDDIは、有望ベンチャー企業を支援するコーポレートベンチャーファンドとして「KDDI Open Innovation Fund」を設立した。予定運用総額は50億円で、KDDIとしては初のコーポレートベンチャーファンドとなる。ベンチャー企業の発展を支援する投資に加え、協業によるサービス開発支援や、クラウドなどのプラットフォームの提供などの支援体制を整え、アプリケーションやサービスの開発を促進する(関連記事:KDDI、ベンチャー企業を支援する運用総額50億円の「KDDI Open Innovation Fund」を設立)。
アプリックスは、iモード端末向けに作られたコンテンツをAndroid端末に提供できるようにするソフトウエア製品「iappli Publisher」に、同社の組み込み向けJavaプラットフォーム「JBlend」が採用されたことをアナウンスしている。iappli Publisherを使うことで、コンテンツプロバイダーはiモード端末向けのiアプリをAndroid端末向けのアプリへと簡単に変換して提供できるようになる(関連記事:iアプリをスマホ向けに変換する「iappli Publisher」、アプリックスのJBlendで実現)。
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キャリアーと非通信業界の企業の連携も進んでいる。NTTドコモ、ローソン、らでぃっしゅぼーやは、ドコモによるらでぃっしゅぼーやの株式の公開買付けを前提とした業務提携および資本提携の検討を行う。ドコモが保有するモバイルITノウハウ、ローソンとらでぃっしゅぼーやが保有する物流ノウハウの融合、さらにローソンとらでぃっしゅぼーやによる共同物流センターの構築などを通じて物流機能の効率化を目指す(報道発表資料:NTTドコモ・ローソン・らでぃっしゅぼーやの業務提携及び資本提携の検討に向けた基本合意について)。
すかいらーくは、三井住友カード、JCB、NTTドコモ、ビットワレット、JR各社、東京急行電鉄と提携し、すかいらーくグループの全国約2600店舗で複数のクレジットカードや電子マネーを使えるようにした。利用できるのは、クレジットカード決済(Visa、MasterCard、JCB、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ)、電子マネー「iD」「Edy」、および地区ごとに各鉄道会社の交通系電子マネー「Kitaca」「Suica」「TOICA」「ICOCA」「SUGOCA」「PASMO」(報道発表資料:すかいらーくグループの約2,600店舗でクレジットカードおよび複数電子マネーがご利用可能に!)。
KDDIは、他社の決済を携帯電話の料金とまとめて請求する「auかんたん決済」の展開を広げている。1月末に、マイクロソフトのSkype Divisionが提供するSkypeの「Skypeクレジット」の購入と、ニッセンが運営するECサイト「ニッセンオンライン」のインターネット決済方法のそれぞれが、auかんたん決済に対応した(報道発表資料:「auかんたん決済」が「Skypeクレジット」購入に対応、ニッセンオンラインに「auかんたん決済」を導入)。
NTTドコモ、KDDIに続き、ソフトバンクも2012年度第3四半期の決算を発表した。連結売上高は2期連続で過去最高となる2兆3981億円、連結営業利益は7期連続となる最高益の5327億円になった。影響利益は、KDDIの3842億円を大きく上回り、NTTドコモの7437億円へと着々と迫る(発表資料:2012年3月期第3四半期 決算発表会)。
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