次世代の小型SIMカードの規格策定をめぐり、アップル（Apple）とノキア（Nokia）など複数の競合端末メーカーとの間で争いが生じているというFinancial Times（FT）の報道を昨日取り上げたが、米国時間22日付けのThe Vergeが、この件についてノキアの広報担当者から入手したとする声明を紹介している。

ノキアはこの声明のなかで、アップルが推す「ナノSIM」（"nano-SIM"）は欧州電気通信標準化機構（European Telecommunications Standards Institute：ETSI）が事前に定めた必要条件を満たしていないと主張。いっぽうで、自社やモトローラ・モビリティ（Motorola Mobility）、リサーチ・イン・モーション（Research In Motion）などが推す規格はこの条件を満たしていると述べている。

ノキアによれば、ETSIの必要条件には「ユーザーがナノSIMを誤ってマイクロSIMのスロットに入れることがないようにしなければならない」というものがあるが、アップルのナノSIMは長さと幅がマイクロSIMと同じため、この点をクリアできない可能性があるという。

ノキアはまた、自社らが推奨する新規格のメリットとして、SIMカードの入れ替えがより容易なことや端末内のカードリーダーの設計の自由度が高いことも挙げている。さらに、アップルの規格はSIMカード自体のサイズはノキアらのものよりも小さいが、付随する「ドロワー」（"drawer"：引き出し）部分などを含めて考慮すれば、自社らの規格のほうが小さいとノキアは主張している。

このSIMカードの新規格に関しては、来週開催予定のETSIの会合で投票が行われ、標準が決定される見通し。この会合に向けて、アップル側はすでに参加を予定する欧州の主立った携帯通信事業者への根回しを終えており、また新たに複数の海外子会社を設けて自社案を支持する参加者の数を増やすなどの策も講じているとされている。

【参照情報】
・Nokia takes Apple to task over nano-SIM proposal: 'does not meet all of the pre-agreed requirements' - The Verge
・Nokia contests Apple's European nano-SIM proposal, says its own meets "pre-agreed requirements" - TNW
・Report: Nokia, Apple battle over ultra-tiny nano-SIMs - The Register
・次世代小型SIMをめぐり、アップルと競合端末メーカー各社が対立（FT報道）
・独G&D社、「nano-SIM」カードを開発 - 「micro-SIM」より30%小さく