欧州委員会、モトローラを調査へ - グーグルに新たな頭痛の種
2012.04.04
Updated by WirelessWire News編集部 on April 4, 2012, 09:43 am JST
2012.04.04
Updated by WirelessWire News編集部 on April 4, 2012, 09:43 am JST
欧州委員会(European Commision)は現地時間3日、モトローラ・モビリティ(Motorola Mobility:以下、モトローラ)に対する調査を開始することを正式に発表した。
モトローラに対しては、同社が保有する必須標準特許(「FRAND」特許)のライセンス提供に関して、他社に提示した金額が高すぎるとする訴えがマイクロソフト(Mircosoft)やアップル(Apple)から欧州委員会に出されていた。同委員会の調査実施はこれらの訴えを受けたものだが、今回の発表からこの調査が2つの事柄に関するものであることが明らかになっている。
欧州委員会では、「モトローラが業界の標準設定機関との取り決めに違反し、必須標準特許を悪用して、EU域内での競争を歪めていないか」という点、ならびに「モトローラが不当な特許ライセンス料を要求しているというアップルやマイクロソフトの訴え」という点の2つについて調べを進めるという。
必須標準特許とは、業界標準規格に準拠するにあたって必要な特許で、特許権保有者には「公平、妥当、非差別的」(Fair, Reasonable and Nondiscriminatory)という原則に沿ったライセンス提供が求められているもの。
マイクロソフトは、H264動画規格関連の特許を使用しているノートパソコンについて、モトローラから1台あたり22.5ドルの特許使用料を要求されていると述べ、この金額が不当であると訴えていた。またアップル(Apple)も、iPhoneについて特許1件につき売上の2.25%を特許使用料として支払うよう、モトローラから要求されているとして、同様の不満を訴えている。
なお、マイクロソフトに対するモトローラからの特許ライセンス料支払い要求については、3月30日にマイクロソフトがシアトル(米国)で起こしたXbox関連の訴訟のなかで、年間約40億ドルをモトローラから要求されているとしている。Bloombergによると、モトローラはXboxに使われているビデオ圧縮技術などあわせて50件の特許を対象として、1件につき製品価格の2.25%をライセンス料として求めているという。
昨年のXbox関連の売上高は89億ドルで、マイクロソフトが他社に支払った特許ライセンス料は650万ドルに過ぎなかったという(2339件の特許について、合計29社に支払い)。
欧州委員会は、独占禁止法違反と判断した企業に対し、世界全体で得た年間売上の最大10%を罰金として課すことができるほか、特許件などの取り扱いも含めて取引方法を変えるよう強制することもできるという。
モトローラは昨年8月にグーグル(Google)が買収計画を発表、今年2月には欧州委員会がこの買収を承認している。そのため、今回の問題はすでに検索関連で欧州委員会の調査を受けているグーグルにとって、新たな頭痛の種となるとの見方も出ている。
【参照情報】
・Europe probes Motorola Mobility over patents - FT
・EU to Investigate Motorola Patents - WSJ
・EU Regulators Stick Motorola With Two-Pronged Patent Probe - AllThingsD
・Motorola under scrutiny as EU opens two antitrust probes - GigaOM
・European Commission investigates Motorola Mobility's suspected abuse of standard-essential patents against Apple and Microsoft - FOSS Patents
・Motorola Mobility Wants $4 Billion From Microsoft Over Patents - Bloomberg
・EU、モトローラへの調査を検討 - 必須標準特許の扱いに関して
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