「フェイスブックが携帯通信事業者のSMS売上を浸食」(米レポート)
2012.05.14
Updated by WirelessWire News編集部 on May 14, 2012, 10:44 am JST
2012.05.14
Updated by WirelessWire News編集部 on May 14, 2012, 10:44 am JST
かつては携帯通信事業者のドル箱であったSMS(テキストメッセージ)だが、最近はフェイスブック(Facebook)利用者の増加に伴い、SMSを利用する人が減少しているという。
無線通信関連の米コンサルティング会社、ストランド・コンサルト(Strand Consult)の調査によると、スマートフォンユーザーのフェイスブック利用時間が長くなったことで、テキストメッセージに費やされる時間が減少しているという。
フェイスブックには全世界で8億人を超える登録ユーザーがいるが、そのうちおよそ4億2500万人が携帯端末から同サービスを利用。1人当たりの平均利用時間でみると、フェイスブック・ユーザーのモバイル通信量、メッセージ数、オンライン利用時間はおそらく世界の大手通信事業者よりも多いとストランド・コンサルトは記している。
同レポートでは、フェイスブック・ユーザーが家族や友達とのコミュニケーションに毎日同サービスを使っている点に注目。またフェイスブックに比べれば、グーグルやスカイプ、ツイッターなどが携帯通信事業者に与える影響はわずかなものでしかないとしている。
今月はじめに米通信業界コンサルタントのチェタン・シャルマ(Chetan Sharma)が発表していたレポートでは、1ヶ月あたりのSMS利用量について、フィリピンでは2010年の660件から2011年に約400件まで減少。また米国でも2010年640件から2011年には680件と増加したものの、増加率は過去に比べて大きく鈍化していると伝えられていた。
いっぽう、携帯通信事業者側でも、先週にはテレフォニカ子会社が「TU Me」という無料で使えるVoIP/メッセージアプリをリリースし、「Viber」や「WhatsApp」なども含めたスマートフォン向けアプリなどに対抗する動きを見せている。
SMSの貢献度はいまだに高く、たとえば昨年時点で米携帯通信事業者のARPU全体に占める割合は約11%、ユーザーひとりあたりの利益(EBITDA)では全体の20〜25%にもなるという。
通信事業者にとっては、スマートフォンの普及に伴うデータ通信料の売上拡大でARPUの増加が続く限りは、SMSの売上停滞・減少はさほど大きな問題にはならないかもしれない。そのいっぽう、アップルやグーグルに加えて、フェイスブックという新たな共存・競合相手が出現していることは、新たな収入源確保を迫る大きな要因となる可能性もある。
【参照情報】
・Facebook Is Killing Text Messaging, Report Says - Bits (NYTimes)
・Facebook said responsible for killing text messaging - CNET
・The State of Mobile: Less Talking, Fewer Texts, More Data - Bits (NYTimes)
・「TU Me」- テレフォニカが自前の無料VoIP/メッセージアプリをリリース
・フェイスブック、スマートフォン向け「メッセンジャー」アプリを公開
・[Pickup]たかがテキスト、されどテキスト - 海外でのメッセージングサービスの現状
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