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グーグル、「マイクロソフトとノキアがパテントトロールと共謀」- EU当局に苦情申し立て

2012.06.04

Updated by WirelessWire News編集部 on June 4, 2012, 09:49 am JST

グーグル(Google)は、マイクロソフト(Microsoft)とノキア(Nokia)が、特許管理専門企業(いわゆる「パテントトロール」)を使って、スマートフォン端末メーカーにAndroidの選択を敬遠させるよう仕組んでいるとして、EUに対して苦情を申し立てた。ただし、今回はあくまでも苦情の申し立てという形をとっており、グーグルが訴訟の当事者となるわけではない。

グーグルが「パテントトロール」と呼ぶのは、カナダのIPライセンス企業モセイド(MOSAID)。同社は昨年夏に、ノキアからおよそ2000件にのぼる特許権の管理を委託されていた。この特許からの上がる収益はモサイド、ノキア、マイクロソフト間で等分されることになっており、モサイドCEOは「この特許権から得られる収入は、自社が過去36年の間にあげた収入の合計額を上回るだろう」と語っていた。

グーグルは、こうした発言を引用しつつ、Androidを採用した端末メーカーをモサイドに提訴させることで、自らは訴訟に巻き込まれることなく特許権から収益を得ようとしているとして、マイクロソフトとノキアを批判している。

モサイドに委託された特許権には、業界標準に準拠するために必須とされるものも含まれているといい、グーグルはマイクロソフトとノキアの行為が独占禁止法違反にあたる可能性があると訴えている。

しかし、現時点ではまだ、モサイドからの実際の提訴は行われていない。グーグルの主張が認められるためには、マイクロソフトおよびノキアが特許権を不当に使用する意図があったと証明する必要がある。

これに対してマイクロソフトは、「グーグル自身が、必須標準特許の濫用をめぐる不満の声に回答していない。モバイル検索・モバイル広告の分野で95%のシェアを持つ会社が、スマートフォン市場における独占禁止法違反で他社を非難している」とする声明を発表している。

昨年9月に明らかになった、モセイドとノキアとの契約では、GSM、UMTS/WCDMA、LTE関連など3Gおよび4Gの携帯通信に不可欠とされる1200件の特許(申請中のものも含む)が含まれるとされていた。また、ノキアから譲り受けた2000件を含めると、モセイドが保有する特許の数は5400件以上になるという。また同社は過去に、
デル(Dell)、HTC、ソニーエリクソン(Sony Ericsson)、リサーチ・イン・モーション(Research In Motion)、ファーウェイ(Huawei Technologies)、キヤノン、レックスマーク(Lexmark)、エイサステック(ASUSteK)、アスース・コンピュータ(Asus Computer)などを相手に特許関連の訴訟を起こしたこともあったという。

いっぽう、欧州委員会(European Commision)は4月に、先ごろグーグルによる買収が完了したモトローラ・モビリティ(Motorola Mobility:以下、モトローラ)による必須標準特許の濫用がなかったかを調べる調査を開始していた。

【参照情報】
Google Files Complaint in Europe Against Microsoft, Nokia - Bloomberg
Google Points Finger at Microsoft, Nokia - WSJ
Are Microsoft and Nokia closet patent trolls? Let the EC decide. - GigaOM
Google files EU complaint against Nokia, Microsoft over alleged patent collusion with MOSAID - The Verge
ノキア、約2000件の携帯通信関連特許をカナダの特許管理会社に譲渡
欧州委員会、モトローラを調査へ - グーグルに新たな頭痛の種

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