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[2012年第42週]KDDIがLTE対応の冬モデル発表、ソフトバンクが買収で世界3位に!

2012.10.22

Updated by Naohisa Iwamoto on October 22, 2012, 11:30 am JST

この週は、大手3社でしんがりを務めることになったKDDIの冬モデルの発表があった。10機種のスマートフォン・タブレット端末は、すべて下り最大75MbpsのLTEサービス「au 4G LTE」に対応。この冬モデルで日本の新スマートフォンはLTE対応が一気に標準的となった。前週後半からくすぶり続けていたソフトバンクの米スプリント・ネクステル買収は、15日(月)に正式な発表があった。ソフトバンクの世界進出が現実のものとなる。

auも全機種LTE対応、スプリント買収を孫社長が説明

KDDIは、スマートフォンが9機種、タブレットが1機種の全10機種のラインアップとなる2012年冬モデルの新製品を発表した。さらに新製品のうち8機種を11月2日に一斉に発売することもアナウンスした。すべて下り最大75Mbpsのau 4G LTEに対応する。au 4G LTEは、他社のLTEサービスが37.5Mbps中心(一部で75Mbpsを提供)であるのに対して、日本全国で75Mbpsのサービスを提供する。エリアの広さでも実人口カバー率96%を来年の3月末までに達成する計画だ。11月2日の新機種発売を前にした10月末時点にすでに84%のエリアカバレッジを確保し、サービスの「垂直立ち上げ」でナンバーワンのエリアを提供するという(関連記事:KDDI、冬モデル全10機種はLTE対応、8機種を11月2日に同時発売)。

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第42週が明けたばかりの10月15日、ソフトバンクは東京都内で記者会見を開き、米国のスプリント・ネクステル・コーポレーション(以下スプリント)との間でスプリントの事業に約1兆5709億円(201億米ドル)の投資を行うことについて最終的な合意に至ったことを発表した。ソフトバンクはスプリントの株式の約70%を保有することになり、同社を子会社化する。なお、買収完了後のCEOは現在のスプリントCEOであるダン・ヘッセ氏。取締役会は10名で構成され、うち6名はソフトバンクが任命権を持つ。移動体通信売上高の合計は2.5兆円となり、チャイナモバイル、ベライゾンに次いでグループで世界第3位となる。「日米両方で大きな基盤を作ることが、安全の鍵になる」とソフトバンクの孫正義社長は説明した(関連記事:ソフトバンク、米スプリントの買収を正式発表 世界3位の移動体通信事業者へ)。

スマートフォン普及続伸、料金には不満?

D2Cは、2012年8月に調査を実施したモバイル利用動向をまとめた。それによれば、スマートフォンのユーザー比率は36.4%に達し、2012年2月の調査から半年で10.9ポイント増加した。モバイル端末の所有パターンを見ると、「スマートフォンのみ利用」が31.0%、「スマートフォンとフィーチャーフォンを併用」が5.4%で、合計36.4%となった。2月の調査時点ではこれらの合計は25.5%であり、半年で10ポイント以上増加する急速な普及が進んでいることが見て取れる(関連記事:スマホのユーザー比率、半年で10ポイント以上増加の36.4%に--D2C調べ)。

一方、スマートフォンに変えたら「料金は不満」という層が多いこともわかった。MMD(モバイルマーケティングデータ)研究所が実施した「スマートフォン所有者の利用料金に関する実態調査」によると、スマートフォンの毎月の利用料金の満足度は、「不満である」「やや不満である」と答えたユーザーが38.0%と4割近くに上った。「満足している」「やや満足している」の34.7%を上回る結果となった。ユーザー側の対策としては、「無料Wi-Fiスポット」「グループチャットアプリ(LINEなど)」「IP電話サービス(Skypeや050 plusなど))」の利用が上位に並んだ。低料金のSIMカードの利用や、モバイルルーターの活用といったデータ通信に焦点を当てた対策は利用率が低かった(報道発表資料:スマートフォンの毎月の利用料金について、不満と思う人は約4割)。

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キャリアー各社、利便性を高める施策

このほか、キャリアー各社がユーザーの利便性を高めるための施策について発表している。

エリア関連では、東京モノレール、KDDI、UQコミュニケーションズ、ワイア・アンド・ワイヤレスは、「東京モノレール」の走行中の列車内で快適にインターネットを利用できるよう公衆無線LANサービスを共同で開始する。2014年3月末までに東京モノレールの全車両に導入する計画だ。今回の施策で、全駅の構内と全車両で公衆無線LANサービスが利用できるようになる。全駅・全車両での公衆無線LANサービス提供は国内初だとのこと。空港に降り立ってすぐに仕事ができる--のはうれしいような悲しいような(関連記事:東京モノレール、全車両・全駅でauなどの公衆無線LANサービスを提供へ)。

〈お知らせ〉「東京モノレール」走行中の列車内でも快適インターネット 〈別紙〉
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KDDIは、スマートフォンに話しかけることで操作できるアプリ「おはなしアシスタント」を提供すると発表した。11月1日に提供を始める。おはなしアシスタントを使うことで、電話発信、メール作成、天気予報、メモ、アラーム登録など利用頻度の高い機能を音声で簡単に操作できるようになる。無料で利用できる機能に加えて、キャラクターのカスタマイズなどができる月額105円の「有料コース」も用意する。アップルの「siri」やNTTドコモの「しゃべってコンシェル」と同系統のアプリで、auのAndroidスマートフォンでも話しかける操作が可能になる(関連記事:KDDI、話しかけてスマホを操作する「おはなしアシスタント」を11月に提供)。

地味だけれど、利便性は高そうなのがNTTドコモの「ドコモかんたん入力」。携帯電話やスマートフォンからモバイルサイトで会員登録をするときに、利用者があらかじめ登録した「氏名」や「住所」などの情報を引用できる入力補助機能だ。モバイルサイト提供事業者向けのサービスとして提供し、当初はファッション・コ・ラボ、東急ホテルズ、らでぃっしゅぼーやが採用する。会員登録や、モバイルショッピングで利用者情報を登録するときに、利用者が情報を入力する手間を簡略化できる(報道発表資料:「ドコモかんたん入力」の提供開始)・

もう1つKDDIの話題。KDDIはインタラクティブ・プログラム・ガイド(以下IPG)と共同で、iPhone向け電子番組表(EPG)アプリ「auテレビ.Gガイド」の提供を開始した。Android搭載スマートフォン向けに提供中のサービスで、IPGが提供する「Gガイドモバイル」を組み込んだテレビ番組情報サービスをiPhoneユーザーも利用できるようになった。月額利用料は無料、対応機種はiOS 5.0以上を搭載したiPhoneである。

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サードパーティーからも利便性追求のグッズやサービス

このほかの面白いトピックを紹介する。ラトックシステムは、iPhoneなどを使ってカギなどの紛失防止に役立てる紛失防止タグ「REX-SEEK1」を10月下旬に発売すると発表した。Bluetoothを使ってiPhoneと通信し、紛失や置き忘れの防止につなげる。希望小売価格は3800円(税別)。REX-SEEK1は、キーホルダーのような形状をしたBluetoothタグ。iPhoneからでもREX-SEEK1からでもお互いを呼び出して鳴動や振動で場所を知ることができるほか、お互いの位置が遠くなりするぎると置き忘れを警告することもできる(関連記事:iPhoneとBluetoothで通信して紛失対策に、ラトックが最軽量の紛失防止タグ)。

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jig.jpは、マルチペアリング可能なチャットアプリケーション『hottoLINE』(ホットライン)の提供を開始した。ペア同士だけが利用できるトークルームにメッセージやスタンプ、写真、位置情報などを投稿するコミュニケーションアプリだ。オンライン同士ならチャット、片方がオフラインならメッセージサービスのように利用できる。セキュリティ機能によりプライバシーも守られるといい、恋人同士などが2人だけの世界をこっそりネット上に作れるようになる(報道発表資料:複数のペアでチャットを楽しめる『hottoLINE』、提供開始)。

昨年の第42週のできごと

・ドコモの新製品、Xi対応から最新Android機まで
・Xiスマホはドコモ間通話24時間無料も選べる
・スマホユーザーほどiPhone 4Sに興味、ソフトバンクはインド進出

[2011年第42週]900MHz帯の割当に審査基準、ドコモの新製品発表、Xiに本腰

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。