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[2012年第46週]EMOBILE LTEの広告に不当表示、ドコモがLTE加速、NSNはLTE-A移行を推進

2012.11.19

Updated by Naohisa Iwamoto on November 19, 2012, 12:30 pm JST

この週はLTEに関連するニュースが集中した。イー・アクセスの「EMOBILE LTE」が最大75Mbpsとうたった広告に対して、消費者庁が不当表示にあたるとして措置命令を下した。一方、NTTドコモはLTEサービス「Xi」で100Mbpsのサービスエリアの提供を開始したほか、LTE対応のフェムトセルも発表している。ノキア シーメンス ネットワーク(ノキア シーメンス、NSN)は都内で記者説明会を開催し、サービスが始まったばかりのLTEから、その先に来るLTE-Advanced(参考情報)への移行の重要性を説いた。

広告の表示と現実に乖離

イー・モバイル
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イー・アクセスは、「EMOBILE LTE」サービスの広告について優良誤認に当たる不当表示があったとして消費者庁から措置命令を受けた。これは2012年3月8日から4月14日に掲出したEMOBILE LTEサービスの広告で、「通信速度最大75Mbps」、「EMOBILE LTEエリア 東名阪主要都市人口カバー率99%(2012年6月予定)」と表示したことについて。実際には6月末には75Mbps対応の基地局は東京都港区台場と周辺地域だけだったほか、データ端末「GL01P」「GL02P」では最大でも30Mbpsの速度しか得られなかったという。

これらが不当景品類及び不当表示防止法に違反する行為として、事実を一般消費者への周知徹底することや、今後の同様な表示がなされないような措置を講じること、そして同様の表示をしないこと--などの措置命令がくだされた。総務省からも一層の広告表示の適正化を図るように指導を受けたという。加熱するキャリア間の競争からくる宣伝合戦が、利用者に誤解や不利益を与えることがないように、心して取り組んでもらいたい(報道発表資料:弊社に対する措置命令に関するお詫びとお知らせ)。

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100Mbps化などドコモのLTEの施策

NTTドコモは、LTEサービスの「Xi」で下り最大100Mbpsのサービスを、全国10都市の一部で開始した。11月16日に100MbpsのXiサービスを提供開始したのは、新潟県新潟市、石川県金沢市、愛媛県松山市と松前町、香川県高松市と綾川町、高知県高知市、徳島県徳島市と藍住町、沖縄県那覇市の10都市の一部。今後、2013年春には札幌、仙台、広島を含む全国50都市以上に拡大する計画だ。また2014年春には東名阪を含む全国主要都市でもサービス開始を見込んでいる。同時に、112.5Mbpsのサービスに対応する端末を2012年度内に発売する予定であることを明らかにした(関連記事:ドコモ、100Mbps Xiを全国10都市で開始、112.5Mbps対応端末は年度内発売)。

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また、LTEおよび3Gの両通信方式に対応した超小型基地局「Xiフェムトセル」も発表している。周波数帯域は2GHz帯で、LTEの通信速度は下り最大112.5Mbps、上り最大37.5Mbpsに対応する。LTEと3Gの両方式に対応したフェムトセルは世界初(2011年11月16日、ドコモ調べ)という。Xiフェムトセルは、高さ18.5cm、幅17.5㎝、厚さ4.5㎝、重さ0.7㎏。自動的に周辺環境に合わせてエリアを調整するプラグ&プレイ機能を持ち、汎用のブロードバンド回線を刺すだけで基地局の運用が可能となる(関連記事:ドコモ、LTE対応の「Xiフェムトセル」を発表

これらの発表と併せてドコモは、LTEへの取り組みについて記者説明会を開催した。まず、docomo LTE Xiの展開状況で高速化とエリアについて説明があった。高速化の観点では現状の最大75Mbpsのサービスを2013年〜2014年度にかけて100Mbps/112.5Mbpsへと高速化する。エリアの観点では、すでに全国政令指定都市の人口カバー率100%は達成しており、2012年度末で人口カバー率75%・Xi対応基地局23000局を目標とする。2013年度から2014年度にかけて全国地方都市も含め約98%に引き上げ。2015年度末には人口カバー率約100%を目指すとした。

次いで、ドコモのLTE技術開発の取り組みについて説明があった。2004年にドコモが提唱した「Super3G」の標準化を3GPPに提案したことでLTE標準化が開始されたことや、規格提案や必須特許数では世界の通信事業者でトップの数であることを示し、LTEの標準化に大きな役割を果たしてきたことをアピールした。続いて、ドコモのLTE技術としては高速ハンドオーバー、基地局と交換機の多重接続、スループット向上のためのパラメーター最適化の3つを紹介した。また、次世代のLTE-Advanced(LTE-A)については、2015年実現を目指して研究開発に取り組んでいる。LTE-Advancedの要素技術として「キャリアアグリゲーション」「スモールセルとHetNet」「MIMO拡張」を挙げた(関連記事:FOMAからXiへのマイグレーション状況、100Mbps化計画など、ドコモがLTEへの取り組みを説明)。

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NSNの技術説明会でもLTE-Advancedへの取り組みを紹介

LTE-Advancedなどの技術動向に対しては、ノキア シーメンス(NSN)も記者説明会を開催して、モバイルブロードバンドのトラフィック増加への対応にLTE-Advancedが有効な技術であることを説明した。

ノキア シーメンス ネットワークス研究所 無線システムパフォーマンス特別研究員のハリー・ホルマ氏は、2020年までに現在の40倍にも上る1人が1日当たり1GBのデータ通信を行うようになるとの数字を示しながら、LTEよりも大容量の通信が可能なLTE-Advancedへのスムーズな移行を考える必要があると説く。1Gbps以上のデータ通信速度を実現できるLTE-Advancedのキーとなる技術として、ホルマ氏は「キャリアアグリゲーション」「MIMO」「システム連携」「HetNet(参考情報)」を掲げ、図らずもNTTドコモと同様の技術が中核をなすことを示した(関連記事:次世代技術「LTE-Advanced」が1人1日1GB時代を救う--ノキア シーメンスが説明会開催)。

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記者説明会では、このほかにLTEネットワーク上でキャリアが音声サービスを提供する「VoLTE(参考情報)」の現況についても、同社のパケット・コア・ソリューション アーキテクトのユッカ・ホンギスト氏から解説があった。まず、データのARPUの上昇に伴い音声のARPUの低下が指摘されるが、それでも音声は2016年時点でもキャリアの収入の半分を占める重要なサービスであることを説明。VoLTEの導入で、周波数効率を高めるだけでなく、高品質でマルチメディアサービスと連携したような音声サービスを提供することが、キャリアの事業展開にとって重要だと説いた。

併設されたデモコーナーでは、ノキア シーメンスの最新ソリューションが並んだ。HetNetやスモールセル(参考情報)、VoLTEのデモなどが見られた。動態デモを実施した中で2つのデモを紹介する。1つは、複数の基地局の電波を協調制御することで、基地局が作るセルの境界領域(セルエッジ)でのスループットを向上させる「CoMP」(Coordinate Multi-Point)のデモ。セルの中心部では3Mbpsでデータをアップロードしていた端末が、CoMPを利用しないとセルエッジでは1.5Mbps程度までスループットが低下し、転送していた動画が途切れるようになった。一方、CoMPを利用すると、セルエッジでも2.5Mbps程度のスループットを得られて、動画が途切れないことを示していた。もう1つは、「Core Virtualization」のデモ。コアネットワークの各種の機能を、これまでの専用ハードで実現するのではなく、共通のハードウエアプラットフォーム上に仮想化技術を用いて搭載するもの。スイッチなどの機能をプラットフォーム上に容易に増設できる様子をデモで示していた。

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進む都営地下鉄のエリア拡張

2012年内に携帯電話などのサービスエリア化を目指す都営地下鉄での各社の動きが活発だ。UQコミュニケーションズは、都営地下鉄浅草線の全線でWiMAXサービスの提供を開始した。本所吾妻橋駅のエリア整備に伴い、都営浅草線の西馬込駅〜本所吾妻橋駅の19駅間がWiMAXサービスのエリアになった。他社線との乗り入れ駅となる押上駅を除き、全線でWiMAXサービスを使った高速インターネット接続を利用できる。都営地下鉄の路線では、都営三田線の全駅で7月31日にエリアが完成しており、これに続く全線のエリア化となった。また2012年内に、残る都営新宿線、都営大江戸線の各駅でもサービス開始を計画している(関連記事:UQ、都営浅草線の全線でWiMAXサービスを開始)。

一方、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの4社も、11月19日正午から都営地下鉄のサービスエリアを拡張する。サービスの提供を開始するのは浅草線(東日本橋駅〜押上駅)、三田線(水道橋駅〜白山駅)、新宿線(馬喰横山駅〜森下駅)、大江戸線(牛込神楽坂駅〜森下駅)。すでにサービスを提供している新宿線の新宿駅〜九段下駅と併せて利用エリアが大きく広がる。2012年12月中には都営地下鉄の路線の大江戸線の都庁前駅〜光が丘駅を除く区間で、サービスを提供する計画だ(報道発表資料:都営地下鉄の一部路線における携帯電話のサービスエリア拡大について)。

LTEはKDDIが高速、アプリのプライバシーポリシーにガイドライン

このほかにも業界を横断するようなトピックが多くあった。まず、MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)が発表した「2012年秋・冬最新Android端末 キャリア・地域別通信速度比較調査」の結果から。それによると、Androidスマートフォンの下り平均スピードはKDDI(au)が最も速い結果となった。調査は、全国主要都市(9都市・45地点)で実施。45地点の下り平均の通信速度は、KDDIが24.51Mbps、ソフトバンクモバイルが18.36Mbps、NTTドコモが10.22Mbpsだった。KDDIが最速でソフトバンクモバイルが続き、NTTドコモは引き離された数字となった(関連記事:LTE/4G対応最新スマホの通信速度はKDDIが優勢--MMD研究所)。

モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は「スマートフォンのアプリケーション・プライバシーポリシーに関するガイドライン」を策定・公表した。このガイドラインは、スマートフォンにおける利用者情報を活用する事業者等が利用者に対して分かりやすく透明性が高い説明を行い、その理解と有効な選択を促すことを目的としている(関連記事:MCFが「スマートフォンのアプリケーション・プライバシーポリシーに関するガイドライン」を公表)。
災害時に耐える情報伝達の技術検証が宮城県石巻市で行われている。「耐災害性の強い放送系技術を用いた防災システムの研究開発」の実証試験で総務省からマスプロ電工が受託したもの。ホワイトスペースやエリアワンセグ技術を活用して災害時にも情報を確実に届けるための助けとする。これに関連した動きとして、マスプロ電工では携帯電話事業者3社の協力を得て緊急速報メールとエリアワンセグの連携の実証実験も行う(関連記事:石巻市でホワイトスペースやエリアワンセグなどを活用した防災システムの実証試験)。

最後に、展示会のグローバル連携。CeBIT(国際情報通信技術見本市)を主催するドイツメッセは、CeBITとCEATEC JAPANの協力を発表し、覚書への調印式を行った。具体的な取組みについては、「まずは第一歩としてお互いの異なる市場から学び、どういう可能性があるかを模索していきたい」(ドイツメッセ担当者)としている。現時点では、来年のCeBITやCEATEC JAPANにおいて共同で開催されるプログラムの有無などについては未定とのことだ(関連記事:CeBITとCEATEC JAPANが協力の覚書を締結)。

昨年の第46週のできごと

・dメニュー開始などキャリアの動き
・UQがタブレット発売、上り高速化
・北海道にデータセンター、spモードでまた不具合

[2011年第46週]NFC決済の実証実験始まる、スマホ向け「dメニュー」スタート、WiMAXタブレット発進

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。