iPhone輸入さし止め命令、オバマ大統領が拒否権を発動
2013.08.05
Updated by WirelessWire News編集部 on August 5, 2013, 09:48 am JST
2013.08.05
Updated by WirelessWire News編集部 on August 5, 2013, 09:48 am JST
米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:ITC)が「iPhone 4」や「iPad 2」を含むアップル(Apple)製品を対象とする輸入さし止め命令を下していた問題で、米オバマ政権は3日、同命令を無効とする拒否権を発動した。ITCの輸入さし止め命令に大統領が介入したのは、1987年のレーガン大統領による拒否権発動以来26年ぶり。
ITCは6月、サムスン(Samsung)が保有するセルラーデータ関連の特許権を侵害しているとして、「iPhone 4」「iPhone 3GS」「iPhone 3」「iPad 3G」「iPad 2 3G」の米国への輸入を禁じる判決を下していた。この差し止め命令は、60日間の猶予期間中に大統領政権からの介入がなければ、今月5日から有効になる予定であった。
この判決に対しては、問題となる特許権が公平、妥当、かつ非差別的なライセンス提供が求められる「必須標準特許」にあたることなどから、輸入さし止め処分の妥当性を疑問視する声もあがっていた。マイクロソフト(Microsoft)、オラクル(Oracle)、インテル(Intel)、ベライゾン(Verizon)といった各社も、アップルの主張を支持し、大統領による介入を求める立場を明らかにしていた。
今回の拒否権発動の理由について、オバマ政権下で通商代表を務めるマイケル
・フロマン(Michael Froman)氏は、「技術革新と経済成長を促進する政権の方針に照らしても、必須標準特許を公平、妥当、かつ非差別的な方法でライセンス提供することは重要だ」と説明。同氏はまた、ITCに対し、今回のようなケースでは、このような形での補償が公共の利益にかなっているかどうかを判断するべきとの見解を示したという。
オバマ政権ではまた、必須標準特許を理由に競合他社製品の輸入さし止めを求める動きをを防ぐための制度の改変も視野に入れている。同政権では、ライセンス保有者が正当な補償を得るべきであるとしながら、必須標準特許権の侵害に対する補償として輸入さし止め措置を求めることは不適切であるとの見解を示したという。
【参照情報】
・Obama Administration Vetoes Ban on Sale of Some Apple iPhones, iPads - WSJ
・Apple Can Continue Selling IPhone 4 After U.S. Reprieve - Bloomberg
・President Obama vetoes Samsung patent ban on iPhone 4 and select iPads - The Verge
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