米ITCのサムスン端末輸入さし止め命令、サムスンとアップルへの影響は
2013.08.13
Updated by WirelessWire News編集部 on August 13, 2013, 11:01 am JST
2013.08.13
Updated by WirelessWire News編集部 on August 13, 2013, 11:01 am JST
先週、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission、ITC)が特許権の侵害を理由にサムスン(Samsung)製モバイル端末の輸入さし止めを命じる判決を下した件で、この判決がサムスンの勢いをそぐ可能性があるとするアナリストらの見方がWSJで紹介されている。
今回ITCがサムスンによる侵害を認めたアップルの特許権は、指でのスワイプ操作に関するものと、ヘッドホンジャックに関するものの2件。とりわけ前者は、ほぼすべてのスマートフォンやタブレット端末で使用されている特許権となる。
サムスンは近年、スマートフォン市場でシェアを順調に伸ばしており、今年の第2四半期には米国市場でもアップルを抜いて首位に立っている。同期のサムスンのシェアは34.9%と、前年同期の22.6%から10ポイント以上増加。それに対し、アップルのシェアは前年同期の33.2%から32.3%へとわずかに下落している。今回の判決の影響で、アップルが再び逆転する可能性もあるとアナリストらは指摘している。
ただしサムスンは、問題とされた特許権の侵害を避けるため、すでに同社端末に変更を加えたとしている。また今回の輸入さし止め措置の対象となる端末は明らかにされていないものの、「Galaxy S II」「Galaxy Tab 10.1」などの旧機種が中心となるとみられている。アップルはすでにGalaxy最新モデルの輸入さし止めを求める訴えを起こしているが、法廷での争いは2014年以降となる見通しで、実際の売り上げへの影響は限定的との見方もある。
Bloombergでは、今回のITCの判決および先日のオバマ大統領によるiPhone輸入さし止め命令に対する拒否権発動により、世界中で訴訟合戦を繰り広げているサムスン対アップル間の交渉で、アップルの立場が有利になると指摘している。
なおこの輸入さし止め命令が有効となるまでには60日間の猶予期間が設けられており、この期間中には米大統領政権による拒否権の発動が認められている。今月頭には、iPhoneおよびiPadの輸入さし止めを命じる判決に対し、オバマ大統領が26年ぶりとなる拒否権を発動していた。サムスンにもロビー活動を通じて拒否権を求めていく道はあるが、アップルの保有する特許権が「必須標準特許」でない以上、拒否権を勝ち取ることは難しいと指摘されている。
【参照情報】
・ITC Ban Deals Blow to Samsung in U.S. - WSJ
・Samsung Losses to Apple Give IPhone Maker Edge in Talks - Bloomberg
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