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アメリカ・モビル、KPN買収資金として72億ユーロを確保

2013.08.22

Updated by WirelessWire News編集部 on August 22, 2013, 12:34 pm JST

カルロス・スリム(Carlos Slim)氏が率いるメキシコのアメリカ・モビル(America Movil)は現地時間21日、同社が買収提案を行っているオランダの携帯通信事業者、KPNを買収するための資金を確保したことを明らかにした。同社は、複数の金融機関(名前は明かされていない)から72億ユーロ(約97億ドル)の資金を調達をできるメドが立ったとしている。

アメリカ・モビルは現在、KPN株式の約30%を保有しているが、この持ち株比率を最低でも50%まで引き上げることを目指している。また、KPNに対しては一株当たり2.4ユーロで株式を買い取るとの条件を提示している。

欧州通信市場への積極的進出を目指す同社は、昨年からKPN株式の買い増しを行ってきいてた。いっぽう、欧州では先月末に、スペインのテレフォニカ(Telefonica)がKPN傘下のドイツの携帯通信事業者であるイープラス(E-Plus)を81億ユーロで買収すると発表。今回のアメリカ・モビルの動きの背景には、このテレフォニカの動きに対抗する狙いがあるとみられる。

Reutersでは関係者の話として、81億ユーロというイープラスの評価額をアメリカ・モビルが低過ぎるとし、またこの買収が当局から承認を得られない可能性もあるとしていたと記している。また、欧州での影響力拡大を目指すアメリカ・モビルにとって、イープラスへの影響力の維持は重要な事項であると考えられる。

KPNでは、10月2日に予定する株主総会でイープラス売却について投票を行うとしているが、この投票権は9月4日時点で同社の株式を保有する株主に与えられるため、9月中のKPN買収を目指すアメリカ・モビルが投票における影響力を増すことは難しいとみられるという。

Bloombergによると、テレフォニカによるイープラス買収が株主投票で認められなかった場合には、KPNはテレフォニカならびに同社傘下の独O2に対して、それぞれ2500万ユーロの違約金を支払う契約になっているという。また、規制当局による買収の承認が下りなかった場合は、O2がKPNに1億ユーロの違約金を支払うことになる。

欧州の通信市場では今年に入って大型買収合併の発表が相次いでいる。7月下旬に発表されたテレフォニカによるイープラスの買収(O2とイープラスの合併が実現すれば、独最大手の事業者になる)のほか、同月上旬には英ボーダフォンがドイツ最大のケーブルテレビ事業者カベル・ドイッチェランド(Kabel Deutschland)を約77億ユーロ(約101億ドル)で買収すると発表。また、2月には米リバティー・グローバル(Liberty Global)が英ケーブルテレビ事業者、ヴァージンメディアの買収を発表していた。

【参照情報】
America Movil Secures Funding for $9.7 Billion KPN Bid - Bloomberg
America Movil secures financing to buy KPN - Reuters
América Móvil secures funding for €7.2bn takeover of KPN - ZDNet
テレフォニカ、ドイツのイープラスを買収へ - 傘下のO2と統合、独最大の携帯通信事業者に
英ボーダフォン、独カベルを77億ユーロで買収へ - 24日にも発表の可能性
リバティ・グローバル、英ヴァージンメディアを160億ドルで買収へ

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