グーグルがサードパーティーcookieに代わるユーザー識別手段を開発へ
2013.09.18
Updated by WirelessWire News編集部 on September 18, 2013, 11:59 am JST
2013.09.18
Updated by WirelessWire News編集部 on September 18, 2013, 11:59 am JST
グーグル(Google)がブラウザーのcookieに代わるユーザー識別手段を開発中だとする関係者の話をUSA Todayが報じている。
グーグルでは現在オンライン広告配信などに広く使われている「サードバーティーcookie」に代えて、新たに「AdID」と呼ぶ仕組みを導入することで、ユーザーによるプライバシーのコントロール能力などを向上させたい考え。ただし、同社以外のマーケティング業界関係者からは、世界のオンライン広告売上の約3分の1を握っているグーグルのさらなる影響力拡大に通じる動きとして、警戒の声も上がっているという。
サードバーティーcookieについては、たとえばアップル(Apple)の「Safari」ではこれをブロックするようになっている。またモジラ(Mozzila)の「Firefox」ブラウザでもサードバーティーcookieをブロックする初期設定となっており、モジラ(Mozzila)と米広告業界団体IABとの間ではこれに関する争いが続いているとUSA Todayは記している。
今回匿名の関係筋がUSA Todayに語ったところによると、グーグルはこのサードパーティーcookieに代わるユーザー識別手段として、新たな技術「AdID」を開発しているという。「AdID」を通じて得られたデータは、グーグルの定めたガイドラインに同意した広告主に提供され、広告配信やマーケティング活動に利用されるという。グーグルは今後、業界関係者や消費者、政府関係者に対し、「AdID」についての説明や意見交換を行うものとみられる。
USA Todayでは「AdID」について、ユーザーが広告用のトラッキングを現在よりも細かく制限したり、特定の企業によるトラッキングを拒否したりすることが可能になるとしている。またシークレットモードでの利用のために、一人のユーザーが複数のAdIDを持てるようにすることも検討されているという。
いっぽうこの話題に触れたAtlantic Wireでは、AdIDの仕組みについて、グーグルからは「われわれや他社から数多くのコンセプトが提示されているが、いずれも初期の段階」とする声明しかだされておらず、具体的にどんな技術が開発されているかはわからないとした上で、こうしたコンセプトのなかには、端末を特定するための「指紋採取」も含まれていると記している。この「指紋採取」については、ユーザー所在地の時間帯、画面サイズ、導入済みプラグインの種類やフォントなどさまざまな情報を収集して端末の身元を特定するというもので、有効期限があるcookieに比べて無効化もしくはブロックするのがかなり難しくなる、などとしている。
USA Todayでは、「グーグルやアップルといった一部の大手企業に影響力が集中することに対し、業界内で懸念の声が上がる可能性がある」とするeMarketer関係者のコメントや、こうした動きが「大企業各社により大きな力を与えることになる」とする広告技術関連企業トリギット(Triggit)CEOのコメントなども紹介されている。さらに、IABでは「AdID」のような身元特定のための仕組みが一部の大手企業の手に託されることは望ましくないとしているという。
【参照情報】
・Google may ditch 'cookies' as online ad tracker - USA Today
・How Google Will Track You Without Cookies - Atlantic Wire
・Google reportedly building in-house ad-tracking tool called 'AdID' - The Verge
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