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「Multipath TCP」対応ルーターの製品化に向けたクラウドファンディングはじまる

2013.10.02

Updated by WirelessWire News編集部 on October 2, 2013, 14:53 pm JST

マルチパス・ネットワークス(Multipath Networks)というアイルランドのベンチャー企業が、複数のブロードバンド回線を組み合わせて高速なデータ通信を可能にするルータを開発、この製品化に向けてクラウドファンディング・サイト「Indiegogo」で資金集めを開始したと、GigaOMが伝えている。

この製品の特徴は、LTEやDSL、ケーブルテレビ回線など、無線・有線のネット回線を束ねてひとつの回線として利用できるところ。技術的には、アップル(Apple)がiOS 7で対応し「Siri」アプリから利用し始めたことでも注目を集めた「Multipath TCP」を採用。またソフトウェア制御で、通信料金の安い回線を優先的に使うような工夫も施されているという。

マルチパス社はGigaOMに対し、この製品で得られるメリットとして、ユーザー自身が加入するLTE回線やDSL回線の組み合わせだけでなく、隣人同士が異なるサービスプロバイダーの回線を融通し合うことも可能な点などを挙げている。また同社はこのルーターを200ドル程度の価格で市販した上で、ユーザーから月額5ドル程度のサービス料も徴収する考えだという。さらに将来的には、複数のサービスプロバイダーから回線を仕入れ、同社からルーターなどを購入した消費者に割安に提供する事業なども想定しているという。

米国は有線ブロードバンドの料金が割高で通信速度も平均的に遅く、そのうえ携帯通信サービスも大手2社はデータ通信の従量制課金が主流になっている。同時に、Netflixなどに加入してウェブ経由で映像コンテンツを視聴するといった動きも進んでいる。そうしたなかで、マルチパス社のルーターのような製品には一定の潜在ニーズがあると思われる。また、複数のサービスプロバイダーの異なる回線が利用できれば、特定の回線が混雑もしくは停止している場合などにも、ネット接続を確保できる可能性が高まると想定できる。

【参照情報】
Multipath Networks wants to mix and match your broadband to give you a faster pipe - GigaOM
Insanely Fast Internet! Combine many connections with the Multipath Router! - Indiegogo
Multipath Networks

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