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迷走するブラックベリー - 売却計画の中止やCEOの交代を発表

2013.11.05

Updated by WirelessWire News編集部 on November 5, 2013, 10:50 am JST

経営不振から全社もしくは一部事業の売却先探しを進めていたブラックベリー(BlackBerry)は米国時間4日、全社売却で基本合意に達していたフェアファックス・フィナンシャル・ホールディングス(Fairfax Financial Holdings:以下、フェアファックス)と正式な合意に至らなかったことを発表。これを受け、同社は売却計画を中止し、社債発行を通じて新たに10億ドルの資金を調達、あわせてトーステン・ヘインズ(Throsten Heins)現CEOの退任とジョン・S・チェン(John S. Chen)氏の暫定CEO就任などを明らかにした。

ブラックベリーは今年9月、フェアファックスに対し、47億ドルで全社を売却することで基本合意に達していた。ただし、この合意は事業引取先が見つからなかった場合の「保険」の性格が強いとする見方もあり、ブラックベリーは引き続き売却先探しを進めていた。また、10月にはフェアファックスがこの買収金額を調達できない可能性も指摘されていた。

今回の計画変更発表に先立って、Bloombergなどでは、フェアファックス側でブラックベリー買収に要する資金の調達が難航していることなどが伝えられていた。また、PEファンドのサーベラス(Cerberus Capital Management)が、ブラックベリー共同創業者のマイク・ラザリディス(Mike Lazaridis)元会長やクアルコム(Qualcomm)と組んで、買収に名乗りを上げる可能性も伝えられていた。

新たな計画では、ブラックベリーが転換社債を発行し、複数の機関投資家から10億ドルの資金を調達、そのうち2億5000万ドル分をフェアファックスが引き受けることになるという。また、現在CEOを務めるトーステン・ヘインズ(Throsten Heins)氏は退任し、代わりにサイベース(Sybase)元CEOのジョン・S・チェン氏が暫定CEO兼会長に就任する。

チェン氏は1998年、コンピューターデータベースソフトのメーカーであるサイベースのCEOに就任し、現在のブラックベリーと同じような経営不振にあった同社を再建した実績がある。その後、サイベースは2010年に58億ドルでSAPに買収されている。

チェン氏はReutersとのインタビューのなかで、不振が続いているブラックベリーの端末部門について「閉鎖をするつもりはない」とし、「われわれには長期的に安定したビジネスを構築するための十分な材料がある」と語っている。

この話題について触れたNYTimesでは、同社の身売り計画中止について、単に現実的な売却先が見つからなかった結果とする見方や、フェアファックスに正式な合意を引き伸ばす正当な理由がなかったためではないかと指摘している。

今回の発表を受け、ブラックベリーの株価は急落し、一時は18%ほど低下していたという。

【参照情報】
BlackBerry Takeover Bid Collapses; CEO Heins Ousted - Bloomberg
BlackBerry CEO steps down as company secures $1 billion funding from investors - The Verge
New BlackBerry boss John Chen sets out to prove skeptics wrong - Reuters
What a Big Investment Says About BlackBerry's Endgame - NYTimes

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