3Dセンサー関連企業を買収したアップル - 買収のねらいをめぐってさまざまな見方
2013.11.27
Updated by WirelessWire News編集部 on November 27, 2013, 12:28 pm JST
2013.11.27
Updated by WirelessWire News編集部 on November 27, 2013, 12:28 pm JST
アップル(Apple)が3Dセンサー関連技術を開発するイスラエル企業、プライムセンス(PrimeSense)を買収することが米国時間24日に報じられていたが、この買収のねらいについていくつかの媒体からそれぞれ異なる見方が出されている。
プライムセンスは、テレビやモバイル、コンピューター、ロボット、ヘルスケアなどの分野の各企業に3Dセンサー技術や関連ソフトウェアを提供しており、マイクロソフト(Microsoft)が最初にリリースした「Kinect」に技術を提供した企業としても知られている。
アップルによるプライムセンスの買収は、今年7月にまずその可能性が報じられ、今月半ばにはイスラエルの新聞Calcalistが買収の合意を報じたいっぽう、まだ条件について調整だがまもなく合意に達しそうだとする話も報じられていた。なお、買収額については3億5000万ドル〜3億6000万ドルとする見方が有力。
この話題を採り上げたGardianでは、アップルによる過去の買収例を踏まえ、プライムセンスから手に入れた技術が今後1年程度で製品に実装される可能性を指摘している。アップルは、指紋認証技術のオーセンテック(Authentec)や3Dマッピング技術のC3テクノロジーズ(C3 Technologies)などの買収でも、取得した技術をそれぞれ1年ほどで一般に提供してきていた。そのため、今回の買収についても、同社が3Dセンサー技術の確保を重要と考えたことに加え、製品への搭載を急ごうとしたためではないかとGuardianは推測している。
またGuardianは、3Dセンサー技術の用途について、プライムセンスのセンサーが基本的に屋内での利用を想定してものであることを理由に、アップルが開発中とされるテレビや既存のセットトップボックス「Apple TV」などを挙げている。いっぽう、All ThingsDでは、3Dセンサー技術を、スマートフォンやタブレットほかスマートウォッチなどの製品に応用できる可能性も指摘している。
NYTimesでは、3Dセンター技術が応用できるものとして、モバイル端末やテレビ関連製品のほか、ホームオートメーション分野(家電・照明製品などのコントロールなど)、それに工業製品製造などのビジネス向けの用途なども挙げている。同記事には、Microsoft Kinectユーザーを調査したところ、ジェスチャーによるテレビの操作には関心がなく、それよりも音声操作のほうがいいと答えたユーザーが大半を占めたとするクリエイティブ・ストラテジー(Creative Strategies)のアナリストのコメントが紹介されている。
また、現在新媒体立ち上げの準備を進める元WSJのジェシカ・レッシン(Jessica Lessin)は同名のブログにあげた記事のなかで、プライムセンスのジェスチャー認識用モーションセンサー技術はそれほど先進的とはいえず、同社の技術が新しいKinectに採用されていないのもそのためなどと指摘。またテレビの操作(リモコンの代替品)だけなら、すでに数億台も出回っているiPhoneやiPadで十分と述べた上で、3Dセンサー技術獲得のねらいは3次元地図ーーとくにインドアマップなどの作成にこの技術を応用することにあると推測している。
【参照情報】
・Apple Confirms Acquisition of 3-D Sensor Startup PrimeSense - AllThingsD
・Apple Agrees to $350 Million Deal for Israel's PrimeSense - Bloomberg
・Why did Apple buy PrimeSense? For a key technology it'll deploy within a year - Guardian
・For Apple, 3-D Sensors Have Potential Beyond TV - NYTimes
・With PrimeSense, Apple Got Key Mapping Technology - Jessica Lessin
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