二足歩行する人間が使う道具の中で、ステッキ(杖)は文字よりも古くからありそうだが、スキーや登山用に、あるいは医療目的で、先端やグリップの形状を工夫するとか、折り畳み式にするとか、強度を保ちつつ軽量化するといった程度の進化を遂げたきり、長らくイノベーションの対象としては忘れられてきた感がある。しかし、スマートフォン時代にはステッキもハイテクになるらしい。
アイソウォーク(Isowalk)はKineticane(kinetic(運動)+cane(杖))社による「世界初」のインテリジェント歩行補助ステッキ。現在はベータ版だが、センサーが数々仕込まれていて、利用者の体重や動きに適合してグリップと、3本の棒から成るスティック部分、地面に接する部分が向きやフォーメーションを変化させる。そうすることで、杖が地面に接している間の体重の移動により手首にかかる負担が軽減され、次の一歩が楽に踏み出せるようになるそうだ。
対象となる顧客は高齢者のほか、肥満の人、怪我などから回復中の一般人やアスリート。アイソウォークはBluetoothなどの無線でスマートフォンと通信する。歩行を分析し、例えば高齢者の転倒を予測することもできるらしい。分析によって高齢者が家庭で安全に一人で暮らせるか、介助が必要かをスクリーニングすることもできるし、負傷したアスリートの回復までのタイムテーブルを描くこともできる。杖が長い期間使われなければ、家族や友人にアラートを送るといった応用も可能になる。
こうした開発はUCLA(カリフォルニア大学ロサンジェルス校)と共同で行っている。アイソウォークはFDA(連邦食品医薬品局)にクラス1として登録されており、用途によってはクラス2として承認を得なければならないそうだ。発売は2014年後半の予定。
【参照情報】
・Isowalkのウェブサイト
・Isowalk The Smart Walking Stick
・UCLA partners with startup to build smart, connected cane
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