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センサー技術やビッグデータ利活用などの大型産学連携研究「革新的イノベーション創出プログラム(COI)」がスタート

2014.02.25

Updated by Rie Asaji on February 25, 2014, 18:43 pm UTC

2月24日、文部科学省の産学連携予算「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」(以下COI)のキックオフシンポジウムが東京・お台場の科学未来館で開催された。

COI は今年度からはじまった新しい取組み。10年後のあるべき社会、暮らしの在り方(ビジョン)を設定し、このビジョンを基に研究開発課題を特定する。既存分野・組織の壁を取り払い、企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを産学連携の複数機関からなるチームで実現するとともに、わが国にイノベーションプラットフォームを整備することを目的としている。

▼COI STREAMの全体像(「平成25年3月29日COI説明会資料「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」について」より引用 ) ※クリックして拡大
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プログラムの特徴は9年間という長期の予算であることと、ビジョン設定と研究の評価がしっかり行われる点であるという。また、これまでの科学技術開発型の産学連携とは異なり、イノベーションバリューの創出を出口とするという点も特徴的だ。論文の本数や学術的な価値にはプライオリティを置かず、社会実装(すなわちベンチャー企業の創出)をゴールに設定している。

現在設けられているビジョンは「少子高齢化先進国としての持続性確保:Smart Life Care,Ageless Society」「豊かな生活環境の構築(繁栄し、尊敬される国へ):Smart Japan)「活気ある持続可能な(Active Sustainability)社会の構築」の3つ。採択された12のチームと14のトライアルの参加機関の合計は326(企業203,大学54,その他64)に及ぶ。各ビジョンから一つずつプロジェクトを取り上げ、紹介する。

●「さりげないセンシングと日常人間ドッグで実現する理想自己と家族の絆が導くモチベーション向上社会創生拠点」(ビジョン:少子高齢化先進国としての持続性確保)
東芝と東北大学が中核を担う。お米や箸をセンサーにしたり、洗面台の鏡に自分の健康状態が表示されるようなビジョンを提示している。加えて集められたデータの安全な二次利用の検討も視野に入れられている。具体的な研究開発テーマとしては、自立型調停電力・バイオマスピントロニクス・MEMS、クラウドPHR、週刊元気予報などが挙げられている。

●「人間力活性化によるスーパー日本人の育成と産業競争力増進/豊かな社会の構築」(ビジョン:豊かな生活環境の構築)
パナソニック(株)と大阪大学が中核を担う。目指すべき将来の姿を、スーパー日本人の育成(不老長寿、学習力増強、人間力活性化)に置いた。実現の鍵となる研究開発テーマにはウエアラブルセンサー技術、音楽や磁気・電流などの機械的刺激による脳・五感の活性化手法の開発、人間力活性化デバイスの開発が挙げられている。

●「感性に基づく個別化循環社会創造拠点」(ビジョン:活気ある持続可能な(Active Sustainability)社会の構築)
明治大学を中核とするトライアル(COI-T(※1))。目指すべき将来の姿を受動的な消費者が創造的生活者になれる社会の実現に置いた。そのための研究開発テーマに感性のモデル化・指標化、容易に使えるデザインツールと、柔らかいものを造形出来る有機3D+(※2)プリンター技術、加えて創造のためのデータや技術をネットワークで共有する共創プラットフォームが挙げられている。

※ 1 COI拠点に発展することが期待される拠点をトライアル課題として実施する
※ 2 "+"は上付文字

ここに紹介できなかったプログラムも含め、特に情報通信分野を切り口として見ると、医療・福祉・エネルギー・モノづくり・個人のライフスタイルなど多種多様な分野にセンサ技術・ネットワーク技術・ビッグデータの利活用を適用することにより、イノベーション創出を図るものが多くあることに思いいたる。

COIプログラムの全体統括を担うガバニング委員会委員長の小宮山宏氏((株)三菱総合研究所理事長)はCOIの最終的な目標を「日本にイノベーションのプラットフォームを整備すること」であるとして、そのためには現在採択された研究が「イノベーションの成功例をつくっていく」ことが必須であると述べたほか、将来的な可能性として、COIと連動した企業特区の創設を提案できないかというアイデアも展開した。

【参照情報】
センターオブイノベーション(COI)プログラム概要
COIキックオフシンポジウムのお知らせ
平成25年3月29日COI説明会資料「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」について (文部科学省)

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麻地 理恵(あさじ・りえ)

日用品メーカー勤務を経て、2012年株式会社 企(くわだて)入社。情報通信、メディア産業を中心として企業の経営支援、財務支援、事業開発支援を行う。