ソフトバンク孫氏、ワシントンDCで講演 - 「米通信市場にほんとうの競争をもたらしたい」
2014.03.12
Updated by WirelessWire News編集部 on March 12, 2014, 16:28 pm JST
2014.03.12
Updated by WirelessWire News編集部 on March 12, 2014, 16:28 pm JST
米携帯通信市場3位のスプリント(Sprint)の会長を務めるソフトバンクの孫正義CEOは米国時間11日、ワシントンの商工会議所(Chamber of Commerce)で講演を行い、同市場がAT&Tとベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)による寡占状態にあるとする自説を改めて述べたという。また、スプリントによるT-モバイル買収を通じて、携帯通信市場の大手2社だけでなく、コムキャスト(Comcast)らのケーブルテレビ事業者とも対抗できるネット接続の新たな選択肢を提供したい考えを明らかにしたという。
Reutersによると、孫氏はこの講演のなかで、「自分は日本でネットワーク間の戦争と値下げ競争をもたらした。米国でも同じことをしたい」などと述べ、さらに「ネット接続の選択肢が1つもしくは2つしかない家庭が全体の3分の2に上るが、われわれは第3の選択肢になりたい」などと訴えたという。
ただし、同氏が米国の携帯通信サービスについて、日本など他国のそれに比べて「速度が遅く、品質に劣り、しかも高価」などと述べたことに対しては、AT&Tのジム・チッコーニ(Jim Cicconi)という幹部から「孫氏が米国でスプリントのサービスを使っているからに違いない」などのコメントも出ているという。また「スプリントにはすでに(高速通信網の実現に必要とされる)周波数帯も技術もある。いま必要なのは事業の規模」などと述べたことに関して、消費者擁護団体パブリック・ナレッジ(Public Knowledge)の責任者を勤めるジーン・キメルマン(Gene Kimmelman)氏は「(スプリントによるTーモバイルの買収でもたらされるメリットがデメリットよりも大きいことが示せれば、買収を実現できる可能性がある」とした上で、「実際にそのことを示してみせる必要がある」と述べているという。
スプリントによるT-モバイル買収の可能性に対しては、携帯通信市場の寡占化を懸念する米連邦通信委員会(FCC)や司法省(DOJ)がいずれも消極的な姿勢を示していると伝えられてきている。孫氏としては、議論の枠組みを携帯通信市場から固定線も含むブロードバンド市場全体に拡げることで、市場競争の低下を懸念する反対派の声を乗り切りたい考えとみられる。
【参照情報】
・SoftBank CEO says Sprint could shake up U.S. 'oligopoly' - Reuters
・SoftBank CEO Says U.S. Wireless Market Is Slow, Overpriced - WSJ
・SoftBank's Son Pitches 'Alternative' for Faster U.S. Broadband - Businessweek
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