[2014年第16週]メールからSNSへコミュニケーションがシフト、広がる格安SIM
2014.04.21
Updated by Naohisa Iwamoto on April 21, 2014, 11:30 am JST
2014.04.21
Updated by Naohisa Iwamoto on April 21, 2014, 11:30 am JST
世の中の移り変わりの実感が、調査結果で確認された。LINEなどの普及により、コミュニケーションの手段がメールからSNSへと急速に移行していることが総務省の調査結果でわかった。20代を中心に、40代以下はスマートフォンの利用が過半数を超え、それらの世代ではSNSの利用が進んでいる。動きが激しい格安SIMでは、050の音声通話が使えて月額767円のプランや、自動販売機で購入できるプリペイドSIMなどが登場している。
総務省 情報通信制作研究所は、テレビ、新聞といった従来型メディアと、ソーシャルメディアなどインターネット上のメディアについて、利用時間などの平成25年度の調査結果の速報を公表した。平日のテレビのリアルタイムの視聴時間は前年度に比べて16.4分(約9%)減少し168.3分だった。そのうち20%前後は携帯電話と並行して利用する、いわゆる「ながら」視聴だった。
調査で明らかになったのは、若年層のコミュニケーション手段がメールからソーシャルメディアに急速に移行していること。若年層の平日のソーシャルメディア平均利用時間は、10代48.1分(前年度は26.9分)、20代が45.1分(同21.9分)と1年でおよそ2倍に伸びた。 前年度はすべての年代層でメールがコミュニケーション手段の首位だったが、平成25年度では10代と20代でメールを引き離して逆転した。ソーシャルメディアの利用は全体で57.1%と過半数を超え、若年層以外にも拡大している。特にLINEは、20代で80%超、10代で70%超となるほか、40代でも40%超が利用するように利用者の年齢層が拡大している。
スマートフォンの利用は全体で52.8%(前年度32.0%)。20代では87.9%と圧倒的に利用者の比率が高く、40代までは過半数がスマートフォンを利用しているという結果だった(報道発表資料:平成25年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査<速報> )
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料金に関連するトピックを紹介する。ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)は、いわゆる格安SIMサービスの1つである「ServersMan SIM LTE」のバージョンアップを行う。月額767円(税抜き、以下同)で、最大250kbpsのデータ通信使い放題、050音声通話サービスに対応し、Android端末に加えてiPhoneでも利用できるようになった。データ通信サービスの月額467円とIP電話アプリの月額300円を加えて、同社では月額767円でデータ通信と音声通話ができるとする(関連記事:DTIの格安SIM、月額767円で250kbps使い放題と050電話、iPhoneにも対応)。
プリペイド型のSIMカードの販売に新手法。ソネット(So-net)は、プリペイド型のSIMカード「Prepaid LTE SIM」を4月22日に提供開始する。プリペイドのデータ容量は100MBと500MBの2種類で、関西国際空港の自動販売機などで販売する。国際空港での自動販売機によるSIM販売は、日本で初めてという。「プラン100M」は利用期間が30日間で、税抜き2778円、税込み3000円。「プラン500M」は利用期間が60日間で、税抜き4630円、税込み5000円で販売する(関連記事:So-net、プリペイド型のLTE対応データ通信SIMを4月22日発売、自動販売機での販売も)。
一方、ソフトバンクモバイルは発表した新料金プランを、いったん撤回することになった。ソフトバンクモバイルは、音声通話とパケット通信をパックにした新サービスとして4月21日に提供を始める予定だった「スマ放題」の提供開始時期を変更する。スマ放題は、当初1月24日に発表、4月1日には、サービス名称を「スマ放題」と発表すると同時に、内容を改定するとアナウンスしていた。今回の発表でソフトバンクモバイルは「競争環境の変化に鑑み、提供開始時期を変更」し、「詳細は決まり次第お知らせ」するとしている(関連記事:ソフトバンク、4月21日提供予定の「スマ放題」の提供を延期)。
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話題のBeacon関連で2つのニュースがあった。1つはアプリックスIPホールディングスのニュースで、O2Oなどで利用が始まっている同社の「Beacon」が、不動産業を手がけるネクストの不動産・住宅情報サイト「HOME'S」の来店検知システムで実験導入されたというもの。「HOME'S」利用者が不動産店舗に来店した際に、Beaconを使って来店行動を記録したりアンケートのプッシュ送信をすることで、不動産店舗が利用者の要望や意見などを把握できるようになるという。実験は首都圏の不動産店舗3店で開始、今後「HOME'S」に登録された全国の不動産店舗への展開などを計画する(報道発表資料:アプリックスのBeaconが不動産業界で実験導入開始 〜 日本最大級の不動産・住宅情報サイト『HOME'S』でO2Oマーケティングを支援 〜))。
もう1つはACCESSのニュース。同社はiBeacon対応の位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESSTM Beacon Framework」(ABF)のオプションとして、GPSによるプッシュ配信機能を追加した。ABFではこれまでに対応してきたBLE(Bluetooth Low Energy)に加えて、GPSによるプッシュ配信機能を拡張した。これにより、屋外の位置情報にも対応することで、店舗の100m近辺を通行した見込み客にPR情報をプッシュ配信するといった利用法が実現できる(報道発表資料:ACCESS、iBeacon対応の位置連動型コンテンツ配信ソリューション「ACCESS Beacon Framework」に GPSを用いたプッシュ配信機能を拡張)。
▼「ACCESS Beacon Framework(ABF)」について
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この週のこのほかのトピックを紹介する。NTTは、カメラでズームして撮影するように、遠く離れた場所(約20m)で話す人々の声から、指定した人の声のみをクリアに収音可能な「ズームアップマイク」を開発したことを発表した。約100本のマイクを凹型反射板の前に設置し、マイク間に生じる位相差と振幅差を利用し、約3度の空間分解能(約20m離れたところで隣り合って話す人が区別できる程度)で収音するなど3つの技術を組み合わせた。これの技術を活用することで、スポーツ中継で、離れた位置にいるフィールド内の選手の声をクリアに中継したり、装置を小型化することで大人数のテレビ会議やシンポジウム会場などで特定の人の声だけをクリアに伝えることが可能になる(関連記事:NTT、20m先にいる人の声を区別して拾える「ズームアップマイク」を開発)。
決済に新しい動き。楽天Edyは、トッパン・フォームズのグループ会社で決済プラットフォーム事業を手がけるTFペイメントサービスと共同で、おサイフケータイ搭載スマートフォンだけで電子マネー「楽天Edy」の決済が可能なプラットフォームを開発したと発表した。外部の機器を使用することなく、スマートフォンだけで電子マネー決済が可能になるのは、国内では初めてという。サービスの第一弾は、プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」の4月18日の試合で提供した。今後は、スポーツなどの屋外イベントに加えて、運輸、宅配サービスなどの決済への利用拡大を目指す(関連記事:スマホだけで楽天Edyの決済が可能に、東北楽天の4月18日の試合からビール販売で利用)。
シスコシステムズが市場に参入して5年を迎えるデータセンターソリューションの現状と、国内でのビジネス展開について記者説明会で説明した。データセンタースイッチング製品の他社を凌ぐ幅広い品揃えや、顧客のビジネスの成功に焦点を当てたソリューションの提供により、データセンター向けアーキテクチャを採用したサーバー製品のCisco Unified Computing System(Cisco UCS)は、グローバルで3万社以上の採用実績があり、x86ブレードの世界市場シェアで2位に位置していると解説する。国内でも、2011年から2013年にかけて国内のCisco UCSの販売は40%増加、販売チャネルパートナーも4社から23社へと急増したという(関連記事:シスコ、データセンターソリューションの現状と国内展開予定を説明)。
ICTによる学習サポートのトピック。東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)、日本マイクロソフト、エデュアスは、学習に困難のある児童生徒の学校での生活をICTでサポートする「DO-IT School」プロジェクトの実証研究事例をまとめた「DO-IT School」研究報告書を「Do-IT Japan」ウェブサイト上で公開した。DO-IT Japanプログラムは,全国から選抜された障がいのある,あるいは病気を抱えた小中高校生,大学生の高等教育への進学とその後の就労への移行を支援することで,将来の社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムだ(関連記事:東大先端研などが学習に困難のある児童生徒をICTでサポートする「DO-IT School」研究報告書を公開)。
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