通信キャリアの設備投資、2013年度の2兆7500億円から今後は減少傾向に--MCA調べ
2014.05.22
Updated by Naohisa Iwamoto on May 22, 2014, 19:59 pm JST
2014.05.22
Updated by Naohisa Iwamoto on May 22, 2014, 19:59 pm JST
IT分野専門の調査会社MCAは2014年5月22日、通信キャリアの設備投資に関する調査結果を発表した。それによると、2013年度の設備投資総額は2兆7500億円と推計されるが、今後主要3グループの設備投資額は減少傾向にあると予想している。
設備投資額の傾向は、長期低落傾向にあるNTTグループ、年間5000億円程度で推移するKDDIグループ、増加傾向にあるソフトバンクグループと三者三様。2013年度には3グループとその他のキャリアを合計して、2兆7500億円の設備投資があった。しかし、今後は基地局投資が一段落することや、各グループ内でのネットワーク統合化の成果、NFVなどのネットワーク仮想化の影響を受けて、設備投資額はソフトバンクグループも含めて減少すると分析する。
設備投資先であるインフラ機器市場は、2013年に7225億円と推計されている。こちらも、2014年度以降は減少傾向にあり、2014年度は7000億円を下回ると予測している。その理由の1つは、これまで年間4000億円前後の高水準を維持してきた携帯電話基地局を中心とするアクセス系機器市場の環境の変化。LTEからLTE-Advancedへの以降の端境期に当たること、また2016年度から本格化すると見込むLTE-Advancedへの投資では新設局はスモールセルが主体になり金額ベースで増加が見込めないことが挙げられる。
インフラ機器市場の減少傾向を予測するもう1つの理由として、NFVの導入の進展がある。アプライアンスから汎用サーバーへの転換により、ハードウエア導入コストの削減が可能になるほか、設備の利用効率も上がる。通信機器ベンダーにとってはハードウエア市場の縮小という向かい風が吹く一方、NFVやSDNに向けたソフトウエア、さらにOSS/BSS市場も視野に入れればビジネス拡大の可能性もあると見ている。
【報道発表資料】
・通信キャリアの設備投資額は約2.7兆円、インフラ機器市場は7,225億円
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