米通信市場最大手のAT&Tが衛星テレビ最大手のディレクTV（DirecTV）買収の可能性を探っているとする話は既報のとおりだが、両社の買収交渉が合意に近づいているとする関係者の話を複数の媒体が報じている。

Bloombergでは、ディレクTVの売却金額について約500億ドル（1株あたり約100ドル）という線でAT&TとディレクTVとが買収交渉を進めているとしている。また、買収後の経営体制について、引き続きディレクTV経営陣が運営にあたるが、ディレクTVのマイク・ホワイト（Mike White）現CEOは来年以降に退任する計画とする関係者の話も紹介されている。

WSJでは、両社がひと株あたり90ドル台前半〜半ばという条件で協議を進めているとし、この交渉が早ければ2週間以内にも合意に達する可能性もあるとしている。ただし、過去には両社の合併交渉が合意間際まで進みながら結局破談になったこともあるため、今回も交渉が物別れに終わる可能性もあるという。

AT&TがディレクTVの買収計画を発表した場合、規制当局がこれを承認するかどうかも焦点となる。現在米有料テレビ市場では、コムキャスト（Comcast）とタイムワーナー・ケーブル（Time Warner Cable、TWC）との合併計画が進行中だが、この計画を規制当局が承認すれば、AT&T--ディレクTVの買収のほうも承認される可能性が高いという。また米国以外では、ブラジルやコロンビアといった各国の市場でディレクTVとアメリカ・モビル（America Movil）が競合関係にあるため、アメリカ・モビル株式の8%を保有するAT&TがディレクTVも手に入れてしまうと独占になりかねないといった懸念の声もあるという。

【参照情報】
・AT&T Said in Talks to Buy DirecTV for About $50 Billion - Bloomberg
・AT&T Could Strike Deal For DirecTV In As Soon As Two Weeks - WSJ
・AT&T reportedly very close to acquiring DirecTV - The Verge